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2009.01.30

プラナリア

プラナリア (文春文庫)  山本文緒 2005 文春文庫

勧められて数年。文庫で見つけたのでようやく手に取った。
5つ短編が収められており、表題作が最初に来る。
どれもが1999年から2000年にかけて、雑誌に発表されたものである。そのため、今ならおそらく携帯電話となりそうなところがPHSだったりして、懐かしさを感じた。それ以外に違和感は特にはない。

この著者には遺恨がある。
正確には、もうかなり前になるが、この著書のある作品のファンを名乗る人から、非常に理不尽な嫌がらせをされたことがあった。
以来、坊主憎ければ袈裟までも憎いというか、本を買って著者を稼がせるのも癪だと思うぐらい、この著者は避けてきた。

そういう先入観のもとに読み始めたので、一つ目の短編「プラナリア」を読んでいるときは苦行のような気分だった。
突然の乳がんによる乳房切除。傷ついた自己を受容しかねる苦しみは、頭ではわかる。こういう風に振舞ってしまう人がいるのもわかる。だけど、どうにも好きになるのが難しい。
もちろん、二十代の女性の不器用さ、寄る辺のなさは気の毒でもあるのだ。しかし、主人公の醜悪さに、共感するよりも先に反感を感じてしまったのだ。多分、私の中にも同じような露悪的な傾向があるためだろう。
自分が傷ついているからと言って、他者を傷つけていいのか。そうではないだろう。それはないだろう。だけど、自分もしたことがないとは言い切れない、後味の悪さ。

「ネイキッド」は、離婚して、離職して、引きこもっている三十代の女性が主人公だ。「プラナリア」に続いて、同じようなすさんだ生活の有様、心持の様子に、読み心地の悪さを感じる。
そこに訪れる、再会と変化。最後の涙に救われた気がする。再スタートの予感がある。

「どこかではないここ」の主人公は、更に加齢して、四十代の女性だ。夫との関係は性的な色合いはないが、不満はありつつも安定している印象。ただ、子どもたちが自立をもがく年頃で、実母は年老いて介護を必要としつつある年頃だ。
その中で、磨り減りそうで、でも、確かにある、自分というもの。最後の2行がなければ、好きになれたかもしれない一遍。

「囚われ人のジレンマ」の出だしのプロポーズの言葉、最低だなぁ。と、いかに、この男がふられるかを期待しながら読み始めた。
こういう男は知っている。読み進めてぞっとした。自分の過去を覗き見られたような、暴き出されたような、気持ち悪さだ。くだんの嫌がらせにまつわるもろもろを思い出して、小説とは関係ないところでも吐き気がしてくる。
期待通りに、男がふられてほっとした。そこでやっと、主人公が可愛くなった。ついでに、作者の印象もアップした。笑

「あいあるあした」が、一番、読み心地がよかったな。これまでの4作の主人公は女性だが、これだけは男性が主役だ。三十代の、会社勤めを止めて居酒屋を始めた、離婚歴のある男性である。
思った通りにいかないと怒鳴るところや、なんだかんだと言いながらは面倒見のいいところが、ちょっと堂上教官系。
なんとな、ヘタレなところが可愛いじゃないか。と、にまにましながら読んだ。タイトル通り、明日に希望が残る作品が締めでよかった。

そして、ふと気づいた。私、男性のヘタレは許せるけれども、女性がヘタレると不寛容かもしれない。
そもそも、私にとって、普段は頑張ろうとしているのがうかがえる男性が時折ヘタレるのは萌えなんだが、最初から最後までヘタレていると視界に入らない。
女性の場合は、どんなにへたれこんでいても、その女性が振り払って立ち上がる力強さを見せてくれるときに魅力を感じるんだよなぁ。
ただただしんどい、つらい、きつい、苦しい、私は不幸だ、世界は絶望的だ、未来は真っ暗だ、こんな人生は誰かの所為だと呪詛は、現実に溢れている。わざわざ娯楽の中でまで、私は触れたくない。自分の中の醜さだって、自分で見つめればすむことであり、外在化してもらおうと思わない。
自分が頑張れないぐらい疲れたときにも、もう頑張れない~ってうじうじしている話を読むより、頑張る人の姿を取り入れるほうが好きなんだ。
苦行は思ったよりも楽に終わったが、遺恨の作を読むかどうかは、慎重にしておこうと思った。

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