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2009.01.31

自衛隊の国際貢献は憲法九条で:国連平和維持軍を統括した男の結論

自衛隊の国際貢献は憲法九条で―国連平和維持軍を統括した男の結論  伊勢崎賢治 2008 かもがわ出版

『武装解除』のその後を知りたくて、購入。
本書の感想を書こうとして、前書の感想も読み直した。なんだか、似たようなことしか、書けそうにない。

私自身は、憲法に九条があることを誇りを持って教えられた世代だと思う。
感想を書く前に自分の立場を明示するならば、改憲派ではなく護憲派になるのだと思う。
その半面で、鋭敏な感性や繊細な悟性を共有し、成熟した理性や冷静な知性を用いて交流することが、常に必ず可能であるとは限らないことを、私は既に知っている。
必要悪としての暴力の必要性を、とてもよく知っている。あるいは、交流が断絶するしかない自体のことを。自分の理性もまた腐食しうるものであることを。
したがって、潔癖で空疎な理想論にだけ立脚して正義に酔うような幼稚な振る舞いは、私はしたくない。

今回もまた、著者の感覚に驚く。
軍事研究家・評論家・オタクな臭いもせず、かといって、自衛隊の出自というわけでもなく、あくまでも文の立場から軍事について語ることができる人が、日本人の中にいたということに、私は驚いた。
平気について薀蓄を語るのでもなく、自衛隊の存在の是非を感情的に語るのでもなく、思想的に永遠平和について語るのでもなく、極めて実際的で具体的な見地に立った言葉が並ぶ。
この説得力が、現場に立ったことのある人のものなんだろうなあ。
今ある、この状況、この条件から、ベストな結果をたたき出す思考力と行動力が筆者の人間的な魅力となって、言説につい引き込まれてしまった。

この本の中には、第九条が持つ国だからこそできたこと、できることが紹介されている。
「美しき誤解」と呼ばれる、日本に対する「人畜無害な経済大国」というイメージ。
とりあえずは平和で中立。国内に犯罪がないわけではないが、特に若年層ほど凶悪犯罪は減少をたどっており、世界水準から見て、おとなしい国。
思い返せば、このイメージの恩恵に私はあずかったことがある。あれは、ヴェトナムでのことだ。
小市民だとか平和ボケとか、自嘲的な表現に陥ることもあるけれど、私はこの誤解された美しさを自己に身に着けるのは嫌いじゃない。
顔色を見る方向性を変えれば、今までの日本が培ってきたものや身に着けてきたものへの肯定的な評価もある。
その憲法を、外国から押し付けられたってなんでわざわざひがむ人がいるんだろう。今、この瞬間、その法に従う自分の主体性を、なんでわざわざ否定しなくてはいけないんだろう。私にはよくわからない。

固有性や独自性を保ち、自分達だからできることを通じて自分達の価値を押し上げることができるのに。
全体としての多様性を持つことによって、役割分担というものができるようになるのに。
国を動かす人たちには、複雑な状況や曖昧な情報を多様な尺度で処理・対応できる知力を持っていてもらいたい。
世界を俯瞰する視野と、未来を予測する展望と、現実を吟味する胆力と……リクエストが多すぎるだろうか。
近視眼的で自己保存的な官僚主義では、ダメなんだと思う。プラトンに倣い、哲学者
の素養を政治家に求めたい。つまり、上質な知性を。

だって、どう考えたって、私自身の戦闘能力やらサバイバル能力は低そうなんだ。この日本だからこそどうにか乗り切っている。
しかも、綺麗事を言えるだけの環境を与えられてきて、これってとても恵まれている。
けれども、自分の身を守るためには、周囲もまた落ち着いていなくてはならない。自分ひとりだけの利潤を追い求めようとすると、必ず失敗する。ツケは自分の頭上にふりかかってくる。アフガニスタンもガザも、他人事ではないのだ。
絵空事にせずに綺麗事を言えるとしたら、それってすごいことだと思うのだ。

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