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2008.12.31

発達障害かもしれない:見た目は普通の、ちょっと変わった子

発達障害かもしれない 見た目は普通の、ちょっと変わった子 (光文社新書)  磯部 潮 2005 光文社新書

宿題のための準備その2。
先に読んだ杉山登志郎『発達障害の子どもたち』の記憶が薄れないうちに、慌てて借りて読んだ。
発達障害については、専門家によって説明が微妙に変わる印象がぬぐえない。説明から思い浮かばれる病態像が、どうもぶれてしまうのだ。
私があまりにも知らないせいかもしれないし、人によって見方が違うせいかもしれない。概念が新しすぎて、定説が定まっていないせいかもしない。
あるいは、発達障害というものを、中核になる古典的な自閉症らしい自閉症を中心に描写するか、それとも辺縁にある多様な発達の偏りを視野に入れて描写するか、その違いのように感じた。
たとえば、これはまったくの個人的な印象であるが、今回読んだ磯辺は前者、先日読んだ杉山は後者という印象である。

どちらが正しいとか、どういうのが良いとか、判じることは私の手に余るが、言葉の持つ幅にある程度は敏感でありたいと思う。
同じ言葉を用いていても、それをどのような定義で用いているのかが異なるとき、会話はたやすくすれ違う。
だからこそ、言葉の定義を明確にすることは重要である。その言辞が診断名であるならば、その診断基準を。
本書は対応や治療についての記述は少ないが、DSM-ⅣとICD-10の診断基準を丁寧に紹介しながら、自閉症、高機能自閉症、アスペルガー、LD、ADHDを解説してある。
どのような基準を持って診断がなされているのか知りたい人には、一挙に紹介されている点で便利であろう。
実際例を、医師である著者、当の本人、その家族の三者の目線で言述しているところは目新しく、興味深かった。

個人的には、診断基準を読むと眠くなるのです……。
私がDSM-Ⅳを読んでいて面白いのは、それぞれの疾患の概念や鑑別ポイントが書いてあるあたりだ。DSMは決して、箇条書きの診断基準の羅列だけで構成されているわけではない。
この基準だけを見て自己判断することは不適切だと思うが、心当たりが生じれば専門家に相談するよい契機になるとも思う。

もう一つ個人的には、自閉症というよりも、広汎性発達障害の単語のほうに馴染みつつあるため、本書が出版されてからの3年間の時間経過を大きく感じた。
メチルフェニデートがADHDの治療薬として紹介されているが、本書より後に、悪用する大人たちへの対応のため、使用が非常に制限されてしまった。
また、特別支援学級をめぐる法的な整備をめぐり、現在は特に、中核的な自閉症には該当しなくともなんらかの発達の偏りがあるケース全般への対応が迫られている。
そういった状況の変化も計算に入れつつ、情報には接していかなくてはならないだろう。

本書は就職や結婚について、同胞や出産についての問題点も明記しており、耳に心地よい情報ばかりではない。
著者が臨床家として出会ってきたケースの数々の中で、ここには書かれていない様々な心痛があっての苦言であろうと思われた。
本人の性格の問題でもなければ、保護者のしつけの問題でもない。ただ、外見ではわからないところに苦手なものがあって、それもある程度は克服可能な苦手を持っているだけだということ。偏見や誤解が減じ、適切な対処がなされることを祈っている。

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