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2008.12.08

烏金

烏金  西條奈加 2007 光文社

上品な時代劇だ。
嫌なやつも出てくるし、人も死ぬ。売買春もあれば、虐待だって。
それでも、どこか上品な空気が漂う。
謎だらけの主人公、浅吉の人品のよさが、物語の健全さを支えているのだ。
一工夫も二工夫もされた設定と物語は、無駄がなくて面白い。

世の中、貯めちゃいけないものが二つある。と、私は思う。
借金とストレスだ。他にも、部屋のごみとか、課題・宿題なんかも溜めちゃいけないんだけれども、とりあえず、借金はいけない。
とはいえ、世知辛い時代、借金を返せなくなることもあれば、借金をせざるをえないこともある。
ワーグナーのように借金取りから逃げるために海外に行き、踏み倒してはほとぼりが冷めた頃に帰国するような真似ができなければ、どうするか。

江戸時代には、いろんな金の貸し方があったようだ。期限によって、烏金、日済、月済、節季貸し。
貸すほうも、札差に始まり、浪人貸し、後家貸し、座頭金といった高利貸しなど様々で、江戸の暮らしを借金という視点から眺めることになる。
高利貸しのお吟の家に張り込んだ浅吉は、単なる借金取りになるのではなく、事業のコンサルタントとして人々に関わる。
まずは借金を整理し、現在の経営を見直し、時には新しく起業し、借り手に借金を返す素地を耕させることで、借金は融資に変わる。
手間はかかるが、借金の返し方、借金をせずにすむ暮らし方を指導することで、いつしか感謝される高利貸しになっていく。

なぜなら、浅吉は、借金を作った末の悲しみや苦しみを知っているから。
たった一人の人間の微力さを、よく知っている。それだけに、もどかしくもあきらめきれない願いがある。
この不況の真っ只中、たやすく借金を作ることを戒める物語は、とても現代的で身につまされるようだ。

町人衆だけではなく、お武家もまた経済難に陥っている。
人が心意気を持つには、どうすればよいのか。
体面に単にお金をかけることではない。義正殿という人物の、明朗で真っ直ぐな心映えが爽やかで魅力的だ。
この本は、金の亡者にならずに、いかによく生きるか、ということを投げかけてくる。

長く積んでいたけれども、読み始めたら早かった。
すんなりと引き込まれて、心がほんのりと温まるような気持ちのいい時間をすごせた。
西條さんの小説は、最後は収まるところに綺麗に収まる感じが、時代劇らしい。
甲州には行基様の植えた千年の甲羅を経た美貌の葡萄の精が眠るという……。(川原泉@『美貌の果実』)

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コメント

こんにちは。
・・・部屋のごみも貯めちゃいけない。先日の大掃除でしみじみ思い知った;;;私の部屋の押入れは『魔の巣窟』だった^^;;;;

・・・話がズレタ。
面白かったね~!ホロリとさせられて、ほっこりできるお話でした。
西條さんの新刊が早く読みたいなぁ・・・。

おうぅ。私も部屋の片づけをしなくちゃー。毎度のことながら、口だけになりそうだけど、しなくちゃー。腐海を部屋の中に繁殖させるのはまずいぞー。笑

ゴメスのシリーズも待ち遠しいけど、こういう普通の時代劇モノもいいですね。
私も西條さんの新刊が読みたいなあ……。

浅吉の、借金をしてたり立場の弱い者たちに向ける視線がとても温かかったですね。窮状を上手く切り抜ける方策が面白かったです。貸しはがしだけが能じゃないんだなぁ~。このあたり、現代の金融機関もちょっと見習ってほしいかもです。

エビノートさん、こんばんは。
窮状をいかに切り抜けるか。その鮮やかさに、ワクワクしました。
ほんと、現代の金融機関も、ついでに政府にも、ちょっと見習ってほしいです。

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