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2008.12.30

ひかりの剣

ひかりの剣  海堂 尊 2008 文藝春秋

最初は読みたかったはずの本が、非常に読みにくくて挫折しかかった。
同じ作者の本を読み続けて飽きてきたというのもあるし、『螺鈿迷宮』が重かったというのもある。
なにより、清川吾郎が苦手で……読むのがしんどかった。『ジーン・ワルツ』を読んだら変わるのかなぁ。
これだけを読んでも面白いかもしれないが、やはり他のシリーズとあわせて読むほうが、魅力倍増だと思う。

速水はいいんです。速水だから。
田口も島津も出てくるし、若かりし頃の、やっぱりタヌキな高階さんも出てくるから、そこは楽しい。
高階院長のあだ名に親近感。若い頃から食えない人だった上に、凄みの元が垣間見えたのがファンとして嬉しい。
麻雀の場面がちょこちょこと出て来るが、そういう学生らしい場面が微笑ましかった。

速水晃一と清川吾郎。性格も剣筋もまったく異なる二人が、ほとんど交互に別々に物語を進めていきながら、最後の対決へと盛り上がっていく。
この作りは『武士道シックスティーン』『武士道セブンティーン』を思い出した。好敵手を描くなら、これが一番なのだろう。
同時に、この二人は部の主将としてチームを育てる方法も、異なっていく。そのあたり、後に速水が東城大学病院のERで組織作りした様子を思い起こさせる。
剣道は、一人と一人の対決であるだけでなく、チームとチームの対決でもある。

そこに、スポーツではなく、真剣の世界を持ち込むのが高階だ。
剣道の世界で終わるのではなく、その外にある医療の世界を体感させる。臨床というのは、つまり、真剣勝負に他ならない。特に、手術室の中では。
対決する前から逃げ出すような性根や、しがらみに雁字搦めになって本領を発揮することをためらうような性根では、一瞬の好機を掴み、奇跡を引き寄せることはできない。
治療の現場で真剣になれないような医師はいらない。それが高階の発するメッセージではないだろうか。
その高階という先輩に、二人の天才が本物として磨き上げられる過程を描いたのが、この本だと言えよう。

気になるのは、「獅胆鷹目」の意味の続き。教えてもらえるものは、とりあえず、聞いておこうよ。田口氏。
これまで何度かがんの告知や病状説明に立ち会ったことがある。医師によって説明の仕方や口調は異なる。
死期を伝えることを苦にして涙ぐみつつも重要なことをきちんとインフォームしてくれた医師もいれば、歯に衣を着せぬ説明の末に最後に苦い顔で首を振った医師もいた。何重にも真綿にくるんだ耳に優しい言葉の羅列のうちに、大事なことを煙に巻かれて、慇懃無礼な印象しか残らなかった医師もいる。
どのような接し方、伝え方がよいかは、医師と患者およびその家族との相性の問題も大いにあるのではないか。
私はどっちかというと、すっぱりきっぱり言ってくれた方がいいな。言葉を飾ればよいというものではない。誠実さは、言葉以外のところで伝わるものだ。

それにしても、現在の医療界の苦境は、これだけの時間をかけて作り上げられてきたのか。
構造改革と叫ぶのは簡単であるが、どのような哲学をもって、どのような制度にしていけば、医療は成り立っていくのだろう。
深い溜め息が出た。

 ***

「獅胆鷹目」の続きは、海堂尊ファンさんのサイトで教えてもらいました。お知りになりたい方は、下記TBからどうぞ。

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小説(日本)」カテゴリの記事

コメント

香桑さん、こんばんは(^^)。
清川は・・・女難ですよ(笑)。
『ジーン・ワルツ』なんてもう・・・。
カッコいいというか、やや2枚目半な感じですね。

しかしまあ、高階院長がどんだけ狸親父か、という物語でもありましたねぇ(^_^;)。
速水はちょっと頑なな感じもありますが、そこを乗り越えてジェネラルになったんだ~、みたいな感慨がありますね。

水無月・Rさん、こんばんは☆
とってもリアルタイムにTB&コメントをいただいて、すごく嬉しいです。
そういえば、この本の中でも、清川は塚本に朝比奈、名前の出てこなかった彼女と翻弄されていましたねえ。基本的に、女性に弱いというか、女性か男性かという点を非常に気にしている感じ。その点、速水のほうが無頓着っぽい。
速水の青さもいいですが、思わずキレてぼやく高階院長の青さの名残が萌えでした。

こんにちは!
高階のメッセージというくだりに、「ふむふむ。なるほどー」と頷きました。
速水の熱さと高階の狸親父っぷりが良かったねー!

すずなちゃん、どもども。今年も一年お世話になりました。
治療者は患者をおいて治療現場から逃げ出したらいけないのです。それが、『ジェネラル・ルージュの凱旋』に繋がる速水の主題のような気がします。
「ジーン・ワルツ」に「ブラックペアン」か~。ぼちぼち読んでいきまーす。

こんばんは。
各登場人物のその後が思い浮かぶ若かりし時のエピソードにニンマリでした。剣道対決も、『武士道~』を読んでいたからイメージしやすかったし、楽しかったです♪

香桑さん、今年も一年間お世話になりました。
また来年もよろしくお願いします♪
それでは、良いお年をお迎えください。

エビノートさん、こんばんは。
あんまり清川がでれでれしているので、香織が「そこに直れ」と背後から殺気を放っているところを想像して楽しんでしまいました。その更に後ろで、早苗が「やりすぎないようにねー」とかのんびり声をかけているのです。

私に方こそ、お世話になりました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。よいお年を♪

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