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2008.11.17

GO

GO (角川文庫 か 50-1)  金城一紀 2007 角川文庫

オヤジ、かっこいい。
私は日本語を母国語とする日本人であるから、アボジではなく、オヤジでいいよね。

読み始めて戸惑ったのは、時代設定だ。
戦時中に子ども時代をすごしたオヤジの話から始まるせいか、主人公の杉原がいつの時代を生きているのか、よくわからなかったのだ。
出てくる映画も、音楽も、ちょっと昔のものが多い気がする。2000年代ではなく、『パッチギ』と同じ頃?と首をかしげながら読んだ。
杉原の家族の戸籍は在日朝鮮人だった。在日韓国人に国籍を変えるところから、話が始まっている。その違いを、私はあんまり意識したことがなかったというのが、正直なところだ。
その家族を取り巻く風景、学校のやりきれないほど攻撃的な気配は、『パッチギ』の景色が思い浮かばれてならなかった。
差別の状況の変わらなさが、現代的なものだと思いたくなかったのだと思う。

でも、小説の大きな要素は国籍と差別の問題だけれども、もう一つ、恋愛の問題がある。
人を好きになるのは、その人だから、という以上に理由はないよね? そう問いかけてくる。
相手の属性で人を好きになるのかな? それとも、その人だったからこそ、好きになったのかな?
恋愛は蓋然的なものではなく、直観的なものではないだろうか。属性を愛情の引き算に使うことは、愚かしくて悲しいことだ。つい、やらかしてしまうことでもあるんだけど。

世代交代が進む中、日本で生まれて、日本で育って、韓国/朝鮮語も使えるけれども、日本語をメイン言語に選択している人なら、日本人というくくりにしたらそんなにいかんのだろうか。
私にはよくわからん。
日本という行政区画に住んでいる人を便宜的に表現するために、日本人という単語がないと不自由に感じるし、個人の所有している文化を個性に還元することはできても、地球上の文化が等質かというとそうではないとも感じている。
私の思考能力では地球上の人類を個人の単位で把握することはできない。いくつかのタイプわけをしてなんとか接近を試みるのが限界だ。パーソナリティの分類をすることもあれば、地域や文化による分類のほうが有益なこともある。
だから、国の概念とか制度というのはある程度までは必要だと思うけど、あるところから先は余計なお世話に感じるのだけど、私がこう書いたって昔の知り合いは偽善的だと言うんだろうなあ……。

冷静に見れば、杉原が好きになる桜井という女の子も、いろいろなものに縛られている。
その一つは、まぎれもなく父親から引き継いだ偏見と無知という縛りだ。余裕のある女じゃなければかっこわるいという価値観にも縛られている。自分の名前の嫌悪感、そこには、父親の日本嫌いという矛盾した態度の影響も読み取れるかもしれない。
ちょっとね、私は、あんまり、この子は好きじゃなかったけれども、主人公が気に入ったんだから仕方がないか。

差別のことに触れるのは難しいけれど、成長物語として、また、恋愛物語としても魅力的。
GO。
タイトルは、広い世界へ「行こう」という呼びかけのようにも読めたし、知らずに背負わされた「業」のような気もした。
多分、読む人によって受け取り方は違っていい。
自分は自分。そういう根っこを感じることができたら、少しだけ、国境線が薄くなる気がする。

少しずつ読んでいったので前半はそんなにのめりこまなかったのだが、100ページを過ぎたあたりから後半はいつものように一気読み。
葬儀に行ったその日に、葬儀のシーンを読むのは、ちょっとしんどかった。
でも、主人公と一緒になって、亡くなった人に「おやすみ」と告げたくなった。お焼香をあげながら、自分が心の中で浮かべたその言葉を、本を読みながら繰り返した。

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