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2008.10.20

虚空の旅人

虚空の旅人 (偕成社ポッシュ 軽装版)  上橋菜穂子 2007(軽装版) 偕成社

「守り人」がバルサを主人公とする物語ならば、この『虚空の旅人』は新ヨゴ皇国皇太子チャグムが主人公だ。
一作目『精霊の守り人』では、バルサやタンダらから守られるばかりの存在だった少年。
あれから3年が経ち、14歳になったチャグムは、星読博士シュガと共に、南方の島嶼部にあるサンガル王国へ向かう。

面白かった。私はこの巻、好きだーっ。

新しい土地の描写は生き生きとして、匂いや味まで想像させる。
この五感に訴えるような表現が、このシリーズの魅力の一つに違いない。
新ヨゴ皇国やカンバル王国とはまったく違う、暑い空気、強い日差しの海辺の国。
政治のシステムや為政者のありよう、あるいは植生や動物でさえ異なる独自の文化。
チャグムのみならず、読み手もぐいぐいと見知らぬ土地を旅する喜びに引き込まれる。
もうひとつの世界〈ナユーグル〉の幻想的な光景には、想像する喜びも最高潮になる。
文章を読んでいるだけでも、とても美しい景色が本の中に広がっていくのだ。

そういった世界の美しさや五感に訴える生々しさに加えて、新しい登場人物たちも魅力的だ。
これまでの物語に出てきた人物が、あちこちと顔を出すのも、ちょっとした楽しみになっている。
今回も女の子達がよくがんばっている。そこが私としては嬉しい。
サンガル王家のサルーナ、ラッシャローのスリナァ、ナユーグル・ライタの目に選ばれてしまうエーシャナ。
この独特の言語を適度に交えるところに異世界情緒を感じてしまうが、描かれる人々は生身の悲しみや痛みや苦しみを抱えている。

中でも、チャグムの成長が著しく、眩しいほどだ。
思慮深さや如才のなさを身に着けても、輝く珠のような心に熱い血を通わせている、魅力的な人物へと育ちつつある。
精霊の守り人となってあちら側とこちら側を行き来してしまったこの少年は、あやういバランスを保ちながら生きていこうとしている。
それが、私は心配になる。この先、つらい人生が待ち構えていなければいいのだが。

穏やかな時代は過ぎ去った。
嵐の予感が不穏に漂う一冊である。

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コメント

このシリーズは、新巻を読むたびに「これが一番好き!」と思っちゃう。そう思えるって、凄いことだよなぁ・・・。

チャグムの成長っぷりに、なんだか涙ぐみそうになったおばちゃんでありました(笑)

そうなんですよー。
次から次にひきこまれてしまうんです。
子どものときに『ナルニア』を読んだときの感覚を思い出します。

子どもの成長は早いですからね……。
私もすっかりおばさん目線です。(^^;

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