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香桑の近況

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2008年10月

2008.10.29

マイ・レイディ:図書館戦争DVD SPECIAL STORIES3

図書館戦争 【初回限定生産版】 第三巻  有川 浩 2008 DVD特典

初回特典書き下ろしも、今回は小牧・毬江の二人が主役。
いやー。この表紙はね。ちょっとびっくりしましたですよ。

小牧がねえ。あの小牧が。
弱気な小牧にも、不埒な小牧にも、石田さんの声のイメージがぴったりです。

堂上にはともかく、郁には見つからないようにしてくださいね?
その場で大騒ぎしそうですから。
かといって、柴崎に見つかったとしたら、それはそれで煩そう。
手塚なら、たじろぐけれども、空気を読んでおとなしく退散してくれるかな。
隊長の場合はわかっていて、必ず声をかけていると想像してみる。
なかなかスリルがありそうな場所ですから、程々にねー。

この二人は正統派のカップルという感じで、今更、甘くても当り前というか、逆にそんなに甘く感じなかったのでした。
私にとっては、前作がベタ甘の最高峰です。今のところ。

さて、次は誰と誰になるのでしょうか。楽しみ♪

(DVD)図書館戦争3

図書館戦争 【初回限定生産版】 第三巻  DJCDを聞いて以来、堂上教官の声を聞くと笑ってしまいます。
前野さーん。

今度の巻は表が小牧だけあり、3話中2話は小牧が大活躍。

状況05は、冒頭の堂上の台詞が好きです。こういう掛け合いは楽しい。
郁の両親は、ちょっとイメージと違ったかな。もう少し若くていいと思うんだけど。
入浴シーンが多いのは、これもサービスカット?

状況06は、アニメ・オリジナルの話展開。
作戦中の郁と小牧。小牧が郁に語る、堂上の昔話。
熊殺しは熊殺しに通じるんですかね。この話、なかなか好きです。
そういえば、童話は世の中の不条理をわかりやすい形で描き出すというくだりで、『精霊の守り人』シリーズを連想しました。そう言えば、同じくProductionI.Gか……。

そして、状況heart01heart01は、アニメでは放送が難しかったという、M江ちゃん登場の物語。
DVD2巻付録のDJCDで石田さんが予告していた、特典の一つです。
ちゃんと『レインツリーの国』も出てきて、手塚も内緒の電話をかけて、毬江ちゃんのヴィジュアル以外は、わりとイメージ通りかな。

2008.10.28

先輩と私

先輩と私  森奈津子 2008 徳間書店

そんなわけで、息抜きの一冊。
違うものを抜くように、帯にて指示が入っているが……。
帯の指示はもう一つ。帰宅してから帯と表紙をはずすように書かれていた。
その通りにしてみて、納得。これは人前でははずしてはいけない。
表紙をはずして提供する図書館では、この本は書架に並ぶことがないだろうなぁ。

本屋さんにこの人の本が並んでいるのを珍しく思って、つい買っちゃった。
しばらくあの本屋さんには行けない気がする。

つまりは、今度もエロと笑いの絶妙な競演であり、それも女性ばかりのエロであり、多分にSM要素も入っているわけだ。
とはいえ、エロといっても、この作者が書くエロは、あっけからんとして、堂々としていて、なんだか陽性という感じ。
ささやかな恥じらいやつつしみはありつつも、性に伴う後ろ暗さを感じさせないところが、魅力なんじゃないかな。

ある女子大学にて、官能小説を極めんとする好色文学研究会と、私小説を出版するエロティック文学研究会が対立している。
この対立は、前者がオナニスト、後者がレズビアンという対立でもある。ただし、どちらも女性の性的解放を目指すところは共通である。
こういう設定でばかばかしいと、ひいちゃいけない。フェミニズム・ベーストのコメディなんだから。
小難しいことを考えずに読んでも十分に楽しいのだけど、考えてみても楽しい。いろんなものを逆手に取りながら、ネタにしてみせる手腕が見事なのだ。
ここではその小難しいことをいちいち書かないが、後書きを読んでも、主人公らの会話を見ても、著者の官能小説というものの理想が感じられるのも面白い。

とりあえず、目の前で自分の文章を朗読されることは、確かに立派な羞恥プレイだよなぁ。うむうむ。

西城秀樹のおかげです

西城秀樹のおかげです (ハヤカワ文庫 JA)  森奈津子 2004 ハヤカワ文庫

本屋にて、タイトルに目が留まると同時に足が止まった。

ハヤカワSF文庫だが、このタイトルでどうやったらSFになるのか??
このタイトルのインパクトは大きかった。
制服姿の可愛い少女がコケティッシュに微笑んでいる表紙を見ても、まったく内容がわからない。
そして、タイトルにつられて、思わず買った。

中身のインパクトも大きかった。
8編の短編が収められているが、概ねエロと笑いが絶妙にブレンドされている。
SFと言えばSFの設定が、微妙に不条理な物語展開を支える。
ばかばかしく見えて、結構、残酷な笑いを提供している。

表題作は、苦笑いをしたらいいのか、嘲笑いをしたらいいのかわからなくて、大笑いをしてしまった。
かっこつけて斜に構えているのは、この本を読むときには似合わない。
M設定のセクサロイドに家事だけをさせるのを放置プレイと言い切ってみたり。
そうそう。バナナワニ園も出てきたんだ。それで、森絵都『風に舞いあがるビニールシート』でバナナワニ園が出たときに、感動的な場面にも関わらず吹き出してしまったんだった……。

読後の印象では、SFよりもSMのほうが記憶に残る。深刻な話は読みたくないときに、ぴったりだった。
ビアンなネタが苦手な人にはおすすめしないが、皮肉ににやりと笑ったり、がははと大笑いしたり、期待以上に楽しませてもらった本だ。
腐れ気味な幻想(とゆーか妄想)に気持ちよく……なれるかな?

内容のみならず、表紙もこっている。
帯にちょうど隠れるようにしてあるけれど……、大人向けの本だってこと。
Amazonの画像には帯がついていないので、ちょっと気恥ずかしいかも。
(2005.2.20)

2008.10.26

神の守り人(下):帰還編

神の守り人 下 帰還編 (3) (偕成社ポッシュ 軽装版)  上橋菜穂子 2008(軽装版) 偕成社

バルサにも、そして読者にも、ことの全容が明らかになる。
入り組んだ物語の、ことの顛末に向けて、読むほどに気が重くなるようだった。
大人たちの身勝手が見苦しくてならない。それぞれの言い訳はあるにせよ、自分の言い分だけを振りかざして押し通す者が多い。

畏ろしき神タルハマヤを身に宿したアスラ。
幼い少女に大人の思惑を見抜けというのが無理なことだ。
親しくしてきた人の言葉や耳に優しい言葉に心揺れても仕方がないことだ。
兄とも引き離されて心細い中で、神によりすがりつくのも当然といえば当然のこと。

バルサは、アスラを表立って責めはしない。アスラを特別視せず、特別扱いせず、ただ普通の子どもと同じように接する。ただ、生きることの経験値を増やしてやる。
一人では生きられないこと。人を殺すことのおぞましさを、教えようとする。
幼い子どもだからといって、高をくくって侮るのでもなく、腫れ物に触れるようにして避けるのでもなく、人として相対する。
大事なことを教えなければならない。バルサがタンダに漏らした言葉は、あまりにも印象的だった。

なぜ、母親は子どもを、兵士になれ、勇者になれ、と育てることができるのか。
夫を殺された苦しみに、息子に敵を討てと教えることができるのか。
それは、人殺しになれということに他ならない。
掲げるものが、信仰であれ、正義であれ、復讐であれ、快楽であれ、人殺しは人殺しなのに。
バルサの悲しみが、胸にしみる。
なぜ、大人は子どもの笑顔を祈ってやることができないのだろう。

『神の守り人』の上巻では、異世界の幻想的な景色があまり出てこないと思っていたが、この巻のクライマックスでは壮大で素晴らしい景色が表れる。
ああ、ユグドラシルだ。挿絵をしばし眺めいった。
神が住むのにふさわしい、そんな景色だ。
神がふさわしいのはこの世ではない。

差別の問題やテロリズムの問題を考えさせられる物語だった。
子どもではなく大人にこそ考えてもらいたいような。
でも、子ども達が、バルサやタンダがかっこいいと思ってくれたら、嬉しい。
素晴らしい物語であり、希望は決して失われない物語であるけれども、ちょっと重かったので、一旦、このシリーズを読むのはお休み。

***

「ただ、どうしてもゆるせないのは--(中略)よってたかって、あの子に、人殺しをしろと、そそのかしていることなんだ。」(p.213)

2008.10.23

神の守り人(上):来訪編

神の守り人 上 来訪編 (1) (偕成社ポッシュ 軽装版)  上橋菜穂子 2008(軽装版) 偕成社

バルサとタンダの仲が、ほんの少し進展した???
気になるのはそこですか、という声が聞こえてきそうな気もするが、この二人の三十代とは思えないじれったさに、やきもき。
もとが児童書なのでベタ甘になることはないと思いつつも、普段がストイックなバルサなだけに、ささやかな甘さも貴重に感じてしまった。

さて、今回は主人公がバルサに戻った「守り人」シリーズ本編。
そうか、守る人というのは、バルサのことだったのかーっ。と、今、書きながら気付いた。
なにかを守る人を、守る人である、バルサ。
職業として用心棒だから、というだけではなく、既に生き方として命を守る人なのだと感じた。
目の前に、命の危機にあり、しかも自らを守るすべを持たない子どもを目の前にしたとき、守ろうとする心が働き、体が動いてしまう。

それが人として当然のこと。
そう言い切るには、自分にもひよることがあったり、ためらうことがあるのは、否めない。
できる限りのことしか、してやれない。でも、できることがあるのなら、してあげたいと思うことがあるのだ。
大きく枠を踏み出すことはできないけれども、子ども達に希望を守ってあげたいではないか。
まあ、ほんと、私にできることというと、ささやかなんだけど……。

他方で、人を利用すること、ふみにじること、傷つけることをためらわない人もいる。
これまでのシリーズでも、非情な権力者が出てきた。新ヨゴ皇国の皇帝、カンバル王国の前王、タルシュ帝国の工作員……。
それぞれの思惑、欲望や権力、偏見や信念など、自分だけの尺度で世界を量り、目の前のことに汲々とする。
ましてや神を持ち出すときは注意が必要だ。神の名の下に正義を語れるほどの正義の人が、はたしてどれだけいるのだろうか。立ち止まって恥じぬ人ほど、正義から遠いと、私は思ったりするのだが。
言葉が通じ合わぬよりも、心が通じ合わぬほうが、よほど始末が悪い。

人としてなにか大事なものがあることを教えてくれるシリーズなので、心の柔らかい人にどんどん読んでもらえると嬉しい。
いまを大事にして欲しい。今、生きているということ。子どもには限界があるからこそ守られるのだということ。世界はそんなに捨てたものじゃないということ。どこかに、手を差し伸べようとする人もいてくれるのだと、あきらめないでいてほしい。

今度は上下二冊の続き物ということで、いつも以上の重たさもあったが、ひきこまれる魅力に変わりはなく、読み終えた途端に気持ちは次に向かっている。
さて。読むぞ。

2008.10.20

虚空の旅人

虚空の旅人 (偕成社ポッシュ 軽装版)  上橋菜穂子 2007(軽装版) 偕成社

「守り人」がバルサを主人公とする物語ならば、この『虚空の旅人』は新ヨゴ皇国皇太子チャグムが主人公だ。
一作目『精霊の守り人』では、バルサやタンダらから守られるばかりの存在だった少年。
あれから3年が経ち、14歳になったチャグムは、星読博士シュガと共に、南方の島嶼部にあるサンガル王国へ向かう。

面白かった。私はこの巻、好きだーっ。

新しい土地の描写は生き生きとして、匂いや味まで想像させる。
この五感に訴えるような表現が、このシリーズの魅力の一つに違いない。
新ヨゴ皇国やカンバル王国とはまったく違う、暑い空気、強い日差しの海辺の国。
政治のシステムや為政者のありよう、あるいは植生や動物でさえ異なる独自の文化。
チャグムのみならず、読み手もぐいぐいと見知らぬ土地を旅する喜びに引き込まれる。
もうひとつの世界〈ナユーグル〉の幻想的な光景には、想像する喜びも最高潮になる。
文章を読んでいるだけでも、とても美しい景色が本の中に広がっていくのだ。

そういった世界の美しさや五感に訴える生々しさに加えて、新しい登場人物たちも魅力的だ。
これまでの物語に出てきた人物が、あちこちと顔を出すのも、ちょっとした楽しみになっている。
今回も女の子達がよくがんばっている。そこが私としては嬉しい。
サンガル王家のサルーナ、ラッシャローのスリナァ、ナユーグル・ライタの目に選ばれてしまうエーシャナ。
この独特の言語を適度に交えるところに異世界情緒を感じてしまうが、描かれる人々は生身の悲しみや痛みや苦しみを抱えている。

中でも、チャグムの成長が著しく、眩しいほどだ。
思慮深さや如才のなさを身に着けても、輝く珠のような心に熱い血を通わせている、魅力的な人物へと育ちつつある。
精霊の守り人となってあちら側とこちら側を行き来してしまったこの少年は、あやういバランスを保ちながら生きていこうとしている。
それが、私は心配になる。この先、つらい人生が待ち構えていなければいいのだが。

穏やかな時代は過ぎ去った。
嵐の予感が不穏に漂う一冊である。

不機嫌な職場:なぜ社員同士で協力できないのか

不機嫌な職場~なぜ社員同士で協力できないのか (講談社現代新書 1926)  高橋克徳(他) 2008 講談社現代新書

職場のストレスを訴える人は多いと思う。
仕事がつらい。大変だ。面白くない。好きではない。
あるいは、人間関係でのトラブルを感じている人もいるだろう。
なぜ、そんなにも、労働が苦痛に感じられるのか。

これまで私は職場環境の問題は、権威主義の文脈から理解しようとしてきた。
岡本浩一『権威主義の正体』などは、その点、非常に参考になる本だ。属人思考に対する批判と、そこから生じる無責任の構造を、同調や服従、社会的手抜きといった観点から説明する。アッシュの同調実験、ジンバルドーの監獄実験、ミルグラムのアイヒマン実験が紹介されていた。

それに対して、この本では、90年代以降、日本企業が、属人性を切り捨てようとして、効率化のために一緒に切り捨ててしまったものを拾い上げていく作業をする。
成果主義の追求と専門性の高度化、雇用形態の多様化から、社員同士の関係が希薄化し、組織力が弱まった。その組織力が、品質問題や不正の抑止力に他ならなかったと指摘する。
誰も助け合わないから、仕事は大変なままだ。協力し合おうにも、隣の人の仕事を自分は知らない。手助けしようとしても余計なことだと思われる? 困っている人がいても、自分以外の誰かが助けてくれるはずさ。

社会的交換理論や傍観者効果が出てくるが、心理学の理論的な説明の部分は、図示されてもいるし、簡便に語られている。専門外の人にも十分に理解できるよう噛み砕かれていると思う。
論の要点も絞られているし、事例がイメージしやすくしてくれている。かなり読みやすい本だと思う。

社員同士が協力し合えるための条件は、肩透かしをくらうほど当り前のことに見える。
集団の凝集性や活動性を高めるための工夫というのは、実は昔からなされてきたことの見直しに近い。
もちろん、懐古主義ではない。昔からの工夫を、更に洗練されること。より成熟した組織になるために必要なことだけを取捨選択しようという主張だ。
居心地がよく、働くことが楽しくなるような職場作り。そこに所属していることが嬉しくなるような組織作り。企業だけではなく、そこにいる社員にとって、ハッピーな場所作りでなければならない。
当たり前だったはずのことが失われてしまっていることがそもそもの問題なのだと思う。

私にとって、今の職場は居心地がよくて、仕事が楽しい日々が続いている。
うちの職場の取り組みや姿勢は間違っていなかったと思えたし、事例で紹介されている企業にも「ここは負けていない」と思える所もあった。
今の職場の雰囲気をいかに保つか。そのヒントをもらった気がする。

この本を読み終えて、電車を降りた。
あまり馴染みのない駅だったのだが、タクシーに乗ると、本の一番最後のほうに紹介されている会社を、まさに見かけた。
こういうシンクロニシティが起きるから、これまた読書って面白い。

2008.10.07

本からはじまる物語

本からはじまる物語  恩田陸・本多孝好・今江祥智・二階堂黎人・阿刀田高・いしいしんじ・柴崎友香・朱川湊人・篠田節子・山本一力・大道珠貴・市川拓司・山崎洋子・有栖川有栖・梨木香歩・石田衣良・内海隆一郎・三崎亜記 2007 メディアパル

なんてまあ、豪華な執筆陣。
梨木香歩や恩田陸の名前もあるし、友人の勧めもあって購入。
真っ先に梨木香歩「本棚にならぶ」を読んだら、ひどくぞっとしてしまった。これは怖い。視力を失うことを子どものときから恐れていたせいか、なんだか無性に怖かった。梨木さんの新たな面を発見した感じだ。

そこから最初の恩田陸「飛び出す、絵本」に戻り、順番に読んでいった。
どれもが、本を題材に取り上げるか、本屋を舞台にしているか。そのため、書店員の仕事振りがのぞかれるものも多いし、名作を上手にパロディにしているものもある。作家の本というものへの思い入れを感じさせられることが多い。
また、相性のよさを感じる作家と出会うこともあれば、残念ながらそれほどでもない作家と出会うこともあり、普段は読みなれていない作家との新しい出会いがあるのが、こういうアンソロジーだ。

恩田陸「飛び出す、絵本」では、大好きな絵本が出てきて嬉しかった。品のよい子も、やんちゃな奴も大好きだ。
本多孝好「十一月の約束」や阿刀田高「本屋の魔法使い」は好きな系統。いしいしんじ「サラマンダー」や静かに感動する。市川拓司「さよならのかわりに」や内藤隆一郎「生きてきた証に」では思わず涙ぐんだ。
今江祥智「招き猫異譚」は、もりみーの京都と地平の繋がっている世界だ。本屋さんにみつくろいをしてもらえる体験に、うんうんと頷いた。朱川湊人「読書家ロップ」と並び、猫好きには嬉しくなる。山本一力「閻魔堂の虹」も、本屋の店番に猫が出てきた。
二階堂黎人「白ヒゲの紳士」や山崎洋子「メッセージ」は、本屋さんを舞台にした、ちょっとしたミステリ。大崎梢を思い出す。
柴崎友香「世界の片隅で」、石田衣良「23時のブックストア」は、本屋さんならではの、書店員さんの仕事振りを覗く一編だ。
同じく本屋さんを舞台にしていても、篠田節子「バックヤード」に含まれるファンタジーはすごく素敵だった。
有栖川有栖「迷宮書房」もある種のファンタジーであり、本屋の猫の物語であり、上手なんだけれども、一発芸に近い感覚。
大道珠貴「気が向いたらおいでね」は、残念ながら私はあまり好みではなかったほう。
そして、最後の三崎亜記「The Book Day」は秀逸。冒頭の恩田陸とゆるかな一対をなしていると感じさせられる上、祈りを感じる。

どうして、こんなに本に惹かれるのだろう。
思えば、本は言葉によって綴られる。言葉にはどれだけ人の気持ちがこめられていることか。私が本に惹かれるのは、本を介して人に触れられるからだ。
ふと、本が貴い、愛しいものに思えて、閉じたこの本の表紙をそっと撫でた。

きみが見つける物語:恋愛編

きみが見つける物語    十代のための新名作 恋愛編 (角川文庫 あ 100-105)  角川文庫編集部(編) 2008 角川文庫

コンピレーション・アルバムのような短編集。
角川文庫が「十代のための新名作」と銘打って、様々な作家の短編をテーマごとに編集。60周年を記念して、読者層の新規開拓に乗り出した感じがする。
こういう短編集から気に入った作家さんを見つけることができたら、ほかの本にも手が伸びやすくなるというものだ。いい企画じゃないか。
私は有川浩「植物図鑑」目当てに購入したが、一連のシリーズはどれも顔ぶれが豪華で、手に取るときに目移りした。ただし、発表済のものばかりなので、本をよく読む人は要注意。
今回は、有川浩「植物図鑑」目当てに購入。またも、つられちゃったよ。

  梨屋アリエ「あおぞらフレーク」
うん。十代向けって感じ。
主人公が中学生なので素直にそう思った。
かといって、気恥ずかしいというよりも、物悲しい感じがした。
主人公の美野里の戸惑いはよく伝わってくるし、そこは共感できる。
不思議な個性のアイデアも楽しいし、ほかの子達はどんな風に描かれるのか、好奇心は持つ。
だけど、美野里の人の痛みに鈍感なところが、自分が大事だと開き直れてしまうところが、私はあまり好きになれなかったのだ。
失恋の苦さだけじゃなくて、後悔の苦さも味わえる子であってほしかったなぁ。

  乙一「しあわせは子猫のかたち」
既読。こういう作品は好きなんですけどね……。嘆息。

  山田悠介「黄泉の階段」
二つ続いて、死者に関わる物語。これって、多分、山田作品初読み。
主人公の気持ちに寄り添えなかったのがつらい。私自身は日付を憶えることがとても苦手だから、神社の階段、すぐに登らせてもらえなくなっちゃいそう。
うーん。これまで気になるけれども手を出してこなかった本もあるんだけど、このまま特に取り上げなくてもいいかも、という気持ちになった。
韓国映画『アメノナカノ青空』を連想したのも、いろいろと個人的な訳あって、微妙にいや~な気持ちになってしまった一因だろう。あうー。

  有川 浩「植物図鑑:Paederia scandens var. mairei」
目的の品。そか。第一話はヘクソカズラであったか。
小学生の頃に友達から名前を教えてもらい、一発で憶えた野草。ほんとに、姿かたちは楚々として、色合いは大人びて落ち着いた、なかなか綺麗な花なのに、この名前。この臭い。
さて、物語のほうはといえば、いつも通り、さくっと引き込んでくれる。イツキという「躾のできたよい子」を捨て犬のように拾ってしまったさやか。
続きが気になる……。続きが気になる人は、携帯サイトにアクセスするように書かれているが……我慢我慢がまんーっ!!
男性のほうがお料理が上手なのも、有川さんのデフォルトになってきた気がする。
  
  東野圭吾「小さな故意の物語」
東野作品も初読みかも。たくさん作品を出している人は、どこから手をつけていいかわからなくなる。
高校を舞台にした、墜落死。自殺すると思えない友人の死をめぐる推理。
思うに、死というものは概ね不可解なもののような気がする。ついさっきまで生きていた人と交流不可能になる、圧倒的な他者性が眼前する現象だ。その断絶を受容するために、生き残された者は様々な努力をする。死の理由、死の原因を探ろうとするのも、そういう努力の一種である。
ところが、私は死は死として受け留めようとする癖があるので、こういう推理小説の発想に繋がらないんだろうなぁ。死者は生者の理解の向こうにあるのだもの。自分が推理小説にあまり惹かれない理由に思い当たったのも面白かった。

2008.10.03

ここ: 食卓から始まる生教育

ここ―食卓から始まる生教育  内田美智子・佐藤剛史 2007 西日本新聞社

「子どもは育てられたように育つ」。
当り前のことを当たり前に、しかし、現状を踏まえて書かれると、私の知る子どもたちのいろいろな顔が思い浮かび、何度も涙が出てしまった。
私の日々の体験を抜きにして、感想を語ることが難しくて、言葉を選ばなくてはならない。

性を大切にしようと思えば、生が大切になります。
性教育は生教育です。
生を大切にすれば食が大切になります。

その観点から、著者である内田氏は年間100件もの講演を行うこともあるという。
助産師である内田氏の言葉を編集執筆したのが、農学の立場から食に関わる佐藤氏。
奥付を見たときには、面白い組み合わせだなあ、と思った。

ここ数年の私の問題意識は、大人としていかに子どもを愛すか、というところにある。
いかに守るか、関わるか、支えるか、育てるか、慰めるか、叱るか、教えるか、励ますか。そして、いつか手放し、遠くで祈り見守る。
残念ながら、専門職であっても、他人ができることは、たかが知れている。私は、その子の母親以上に、その子達を愛することはできない。
母親であれば、どんなに関われることだろう。もっと子どもたちを抱きしめたり、声をかけ、可愛がり、お腹いっぱい食べさせてあげたりすることができたら。

私はもう、おそらく自分で産み、自らの子を育てることは、できないだろう。年齢的にも、身体的にも。
だから、子どもたちに関われることが、私の喜びである。大人として子どもにできること、すべきことは何であろうか。
今の私のままでできることはしていきたいと、気持ちを新たにする読書となった。
子どもを持つ大人、子どもと関わる大人、それから、中学生や高校、大学生といった子どもから大人の中間の人たちにも広く読んでもらいたい、感じてもらいたい、考えてもらいたいと願う。
保健室や相談室、学校図書館にもお勧めしたいな。

友人から勧められて手に取った本。
こんな本を勧められる友人も素敵な人だなぁ。

2008.10.01

(CD)図書館戦争関東基地広報課特別編

図書館戦争 【初回限定生産版】 第二巻  有川 浩 2008 DVD特典

運転中に聞きました。
車を運転しているときが、私が一番、集中して純粋にCDを聞ける時間だからです。
今までWEBラジオも聞いていないし、DJCDは購入リストからはずしていました。
聞いてみて、ちょっと……いや、かなり、後悔してしまいました。

だって……だって…………こんなに笑わせないでくださいーーーーっ。
爆笑するあまり、高速で微妙に蛇行運転になってしまったんじゃないかと、思いやられてしまいます。
笑い転げている間に職場についてしまいました。

いやーもー。
すごいっ。楽しいっ。
堂上教官の「美味しいカレーの作り方」がツボでした。

そして、石田さんの演技?に、うひゃーっと悶え叫んでしまいました。
石田さんって、更夜@十二国記だったんですよねぇ。ヅラだし、半兵衛だし、名取さんだし……と調べてみたら、結構、聞いている声だったりして。
女の子達が騒いでいたのとは別の意味で、声ではなくて、この人のキャラが好きかも~。

DJCDも欲しくなってしまいました。
でも、この特典を聞いたら、WEBラジオは家族のいる前ではやっぱり聞けない!と思いました。
うーむむむ。

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