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2008.09.01

夏の庭:The Friends

夏の庭―The Friends (新潮文庫)  湯本香樹実 1994 新潮文庫

スイカの瑞々しさ、ブドウの甘さ、揺れるコスモス、セミの声。
蚊取り線香と乾いた洗濯物の匂い。ホースの先にできる小さな虹。
小さな庭を過ぎ行く一夏。喪い逝くものと失われないもの。
結末は予想されながらも奇跡を祈りたくなった。

職場近くの商店街が取り壊されている。戦後にできて、60年ぐらい経っているのだろうか。
店が立ち退き、ある日シートで覆われ、さくさくと取り壊されてしまった。
壁面をうっそうと覆うカラスウリの白い花も、もう見ることはできない。
その商店街の壁面に種苗店の色あせた看板もあり、見るたびに、この本の中に出てくる池田種店を連想していた。
写真の一つでも撮っておけばよかった。

普段は気付いていないとしても、隠れてあるものだってある。見えていなくて見逃している、いろんなことを、子どもの目線で見直していく。
子どもたちはそれぞれ特徴的で、問題や苦悩を抱えている。同時に、作者はそれぞれに固有の格好よさも与えているところも好感を持った。
子どもに人間として付き合う、そういう良識ある大人である姿勢がどれだけ大事な体験となるか、老人達にも愛情を感じる。

子ども達の日常生活では、死というものは非日常、わけのわからない怖いものだった。彼らは死と出会い、やがて、そこにあってあたり前のもの、日常の一部にあるものとして咀嚼していく。
死との付き合い方を、夏休みの課題のように積み残している大人にとっても、心に残る一冊となるだろう。
日本では8月は死を思う記念日や風習が集中しているから、そういう意味でも夏休みに向いている本だ。
自分自身のあの世の知り合いに思いを馳せる、素晴らしい時間を持てた。知っている人が先に行ってくれているなら、きっとそんなに怖くない。悪くない。

夏休みの読書感想文にぴったりの本。と、夏休みも最後の夜に書いておく。
今年はどんな本が読まれたのだろうか。読書の楽しみが癖になる人が増えるといいな。
(2006/8/20)

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