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2008.09.21

GOTH(夜の章・僕の章)

GOTH 夜の章 (角川文庫) GOTH 僕の章 (角川文庫)  乙一 2005 角川文庫

気持ち悪い~~~。

私がミステリを読まなくしたのは、傷の描写が苦手だからだ。
切り傷、刺し傷、打撲傷。読んでいるうちに、該当する自分の体がむずむずと気持ち悪くなる。蟻走感というのは、これをひどくしたような感じだろうか。
そんな調子なので、解体された死体の描写になると、もうやめてー!という感じだ。
乙一らしい、淡々として、感情の起伏の少ない文章であるが、切り取られた胃袋やそれら臓器の生臭さが鼻先に甦って、うげげっとなってしまう。
自分の手術のDVDでさえ観ることができたなかったのにーっ。

3編ずつ、上下巻に収められている。
二冊で一つの表紙のデザインが凝っている。黒い刃の、一本のナイフ。
登場人物の一人称で進められるため、物語の終わりで、犯人や被害者が推定した人物と違っていたこともある。
というか、私はだまされまくった。
うーん。裏切り方が見事だ。
そこは面白いと思った。特に、「夜の章」の「犬」はやられた。

人は、誰しも心の中に黒い部分があるものではないかと思う。
曲がったところ、歪んだところ、ねじれたところ、くすんだところ、濁ったところ、獣が眠る薄暗がりが。
そこを眠らせている人もいるだろうし、自覚している人もいるだろうし、無自覚で発揮している困った人もいるかもしれない。
他者に、自己に、傷を求め、傷に親しむ、そういう心性を私は否定しない。
認めるのはつらいが、中には、あまりにも他者との断絶が際立ち、共感性をもとから欠いているのではないかと疑われるほど、関わりあえぬ他者との出会いもある。

後書きによると主人公の設定は「怪物」ということだから、そういう先験的に関わりあえぬ他者として生まれたのだろう。
しかし、本を読み進めるうちに、主人公の男の子も、森野夜という女の子も、黒い色彩の中に徐々に人間的な色合いが移ってきたように見えた。
森野夜の変化が読み取れる「記憶」と「声」は、割合に好ましく読むことができた。
特に、「声」では、森野夜が「こちら側」に戻ってきた感じがする。
つられて、主人公の男の子もうっかり「こちら側」に来つつある様子が感じられた。決定的に「あちら側」に手を染めながら、それでも、少年は始めて名乗りを上げてしまった。
名前は、「こちら側」に来るための魔法。名乗りは作法である。

面白いと思う人がいるのはわかるけど、私は読み返さないなぁ。
やっぱり、えぐいのは苦手です。子どもが殺される事件が、近頃続いているだけに、なおさら後味が悪い。読後感は悪くはないけれども、現実の死に触れることは嫌なものです。

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コメント

香桑さん、こんばんは(^^)。
確かに、後味の悪いというか…犯罪心理の怖ろしさ、しかもそれが自分の身に回るかのような、そんな読後感は、恐かったです。
それに、やっぱり殺害のシーンの生々しさは、うぇぇ~って感じで・・・。
ちなみに私が読んだのは単行本版だったのですが、その表紙の一本のナイフが、文庫本版では2つにわかれるんですね~。

水無月・Rさん、こんばんは。
ヴァージョンによって表紙って変わりますものね。
今日はトップニュースが2件、子どもの不審死。そういう日に読むのは、妙に生々しくて、居心地が悪くなりました。
報道されるものを逐一観てしまう心境だけを取り上げて純化すると、主人公達の心に近くなる気もします。

文庫版の後書きには、ラノベ作家の苦労や苦悩のようなものに触れられていて、有川さんがラノベにこだわる気持ちが少しわかりました。

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» 『GOTH~リストカット事件』乙一 ◎ [蒼のほとりで書に溺れ。]
殺人事件にしか、‘本当‘を感じられない僕は、クラスメートの‘森野夜‘の周囲にうごめく犯罪を観察する。 [続きを読む]

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