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2008.09.24

(短編)檸檬

梶井基次郎 1967 『檸檬』 新潮文庫

もっちゃんだーっ!!!(@『ホルモー六景』

……と、勢い込んで購入したが、表題作以外は読むのを挫折したのである。
全部で20の短編が収められており、文庫としては厚いほうになる。
表紙はシンプルに白とレモン色で、レモンの形が描かれている。この表紙は好き。

梶井基次郎の名前は知っているし、京都の丸善は好きだったし、寺町の八百屋の軒先に檸檬が籠に並べられており、曰くが書かれていたのも読んだ。それで、檸檬という小説を書いた梶井基次郎という人を知ったのだ。
それは、私が子どもの頃の話であって、今は京都に丸善はないし、丸善の最終日には書棚に檸檬を置いた人が何人もいたという。
そんなことを知っていてもなお、実物を読んだことがなかったので、ようやく手にとってみたのである。

梶井は結核で、31歳で死んだ。結核は、当時、遠隔地で療養するしかない、とてもお金がかかる病気だった。
その人の残した作品は、人生の長さに比例して、さほど数が多くないらしい。
「檸檬」そのものは、きわめて短い短編だ。平易な言葉で書かれており、読むのにそれほど苦労はいらない。
しかし、私はしんどかった。死の匂いが強すぎる。作品の中に作りこまれた死ではなく、作者自身が持つ死の匂い。
解説では「頽廃」という言葉が出てくるが、非常に危なっかしくて脆い精神が読み手に迫ってきて、私には呪詛のように感じられる。
サルトルの『嘔吐』やニーチェの『ツァラトゥストラ』を読んだときの感覚に似ている。
引きずられそうな重たさは、表題作以降の作品にも続くため、挫折が決定したわけである。と、言い訳をしておく。

学問をするには金がかかる。
ここに出てくる本屋は、私の親しむ本屋の印象とは、まったく異なる顔を見せる。
本が文化を代表するものであるならば、この檸檬は……。

檸檬に託すイメージも、現代とは異なると思い、興味深い。
そういえば、と、およそ百年前の京都を舞台にした梨木香歩の『家守綺譚』にも、シトロンが出てくる。
非時香果(ときじくのこのみ)と近しいから、だろうか。

時代の空気を読むもよし、変わらぬ人なるものの心性を読むもよし。この短編集でもう一つ読むべき短編を読んだら、しばらく封印することにしたい。

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