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2008.09.13

武士道セブンティーン

武士道セブンティーン  誉田哲也 2008 文藝春秋

場所は横浜から変わって福岡。
太宰府天満宮近くのスポーツに力を入れた高校というとあそこかなー?と思い描きながら読んだ。
セロハンに包む前の、焼きたてで皮がぱりっとした梅ヶ枝餅は美味しい。うむうむ。

前作『武士道シックスティーン』と一緒に、友人からいただいた。
一作目よりも少し成長した磯山香織と甲本(西荻)早苗。
二人の再会から始まるのかと思いきや、時は少しさかのぼり、『セブンティーン』から読んでもわかるようになっている。
そして、改めて甲本から語られる二人の別れのシーンで、前作以上に泣いてしまった。
でも、これはやっぱり、『シックスティーン』から順番に読むのがお勧めだ。

かつての敵地にすっかりと馴染んで、年下の指導も先輩らしく板についた、磯山。
前作では磯山の成長過程に目を取られたが、本作でそれが花開いているのがうかがえる。
自信過剰で無鉄砲だったところがやわらぎ、自分の限界をきちんと認識できるようになってきた。
父親との関係も徐々に安定していく様子が微笑ましいし、父親や小柴先生、桐谷先生、たつじいらも磯山の成長を感じている。

今回、目を引いたのは、磯山ではなく甲本のほうの頑張りだ。
横浜から福岡に引越し、転校。いわば敵地である学校の剣道部に入った彼女が、成長を求められる。
キャリアが浅く、自信は控えめで、お気楽不動心を頼りに、剣道を楽しむことを剣道の目的にしていた少女が、磯山とは違う形で勝敗のみを求められる。
大事なのは勝つことか? それだけなのか? それとも??

武士道とは何ぞや。これは非常に回答が難しい問いである。
浅学ながら、菅野覚明『武士道の逆襲』、佐伯眞一『戦場の精神史:武士道という幻影』を読むと、武士道なるものにも、古来の武士道(江戸時代までの実際の武士の行動原理)、明治武士道(新渡戸稲造による、いわゆる武士道)をわけており、新渡戸による明治武士道の問題点をわかりやすく指摘している。
評者によっては、これらと戦後武士道(時代小説を中心に描かれるイメージ)を更に分類する必要性を挙げている。
そりゃあ、磯山も混乱するだろう。

それでも、私は、剣道や柔道が単なるスポーツになってしまうのは嫌だ。
オリンピックを見ながら、柔道とJUDOは異なるものになったと感じた後に読んだからだろうか。
ぼんやりとした違和感が、黒岩レナの主張する「高度に競技化された剣道」への甲本の違和感に重なった。

自分のやりたいようにやってしまったら、そもそも、スポーツではなくなるではないか。ルールを守ってこそスポーツは喧嘩と峻別されるのに、競技として成立させるために、そのレギュレーションをころころと変えるのは本末転倒している気がするのだ。
そして、ルールさえ守っていればいいかというと、プレイにもクリーンなものと、ダーティなものとがある。そう言い出せば、自然に「道」としての正確が現れてくるのではないか。
簡単に言えば、こういうことだ。
柔道をしたいなら正々堂々と柔道をしろ。剣道をしたいなら徹頭徹尾に剣道をしろ。勝ちたいのなら、王道を貫いて勝ってみろってんだ。
黒岩だって、フェンシングをやりたいならフェンシングをしたらいいじゃん。無理に剣道をフェンシング化させてどーするの。むきー。
甲本、黒岩の首を取って来い。そこの土壌を叩き壊すべく、暴れまわって来い。と、磯山と一緒になって、応援したくなった。

礼に始まり、礼に終わる。その心構えを好ましく思う自分には、やはり、武士道なる価値観、倫理観に馴染みがあるということだ。
自分のプチナショナリズムを再確認。スポーツに関しては、エッセンシャルでファンダメンタルな原則派。
そんなわけで、玄田隊長@図書館戦争の台詞を引いておこう。
「原則を曲げることは簡単です」「しかし、原則を守ることで量られる真髄があるはずです」(pp.182-183)

ポップで、テンポがよくて、清潔で、一生懸命で、折り目正しく、爽やかで、少したくましくなった。
是非とも、『武士道エイティーン』を読んでみたい。彼女達の次の戦いを。武士道の成熟を。
小説だって、王道が楽しいのだ。

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コメント

おーっ、熱々の梅ケ谷餅ぃ♪と呟きつつ私も読んだ(笑)美味しいよねぇ。餡で口の中を火傷しないように気をつけなくちゃいけないけど(^^ゞ

二人の成長が垣間見れた今作でした。離れ離れになっても、二人の友情は変わらない。逆に強固になった!?
面白さ楽しさは相変らずで、是非とも続編を読みたいね!!

ところで。サイドの積読中「檸檬(梶井基次郎)」が気になっております(笑)・・・挫折しちゃった?私も興味があって読んでみようと思ってたんだけど、こちらの感想を読んでからと思ってたりしてて・・・えへへへ^^;

決闘の場面、「あそこだ!」と目に浮かびました。
あの吉野先生が、ああいう美味しいところを持っていくのはずるいと思うのです。むーん。
これを読んで、香織と早苗は、高校を卒業してからもずっと縁が続くんだろうなぁ、と思いました。
それぐらい強い絆を感じました。

『檸檬』はね……。
挫折したという感想を書きますです。短編集で、短編がぎっしり入っているので、読むのが大変なん。表題作しか興味がなかったので、なかなか。
買うより借りるほうが吉。

香桑さん、こんばんは(^^)。
おお~玄田隊長のお言葉が!(←まずそれかい!)
でも私も、『武士道セブンティーン』を読んで、「スポーツ」ではなく「武道」というものに思いを馳せましたね。
剣道は「武道」であってほしい。品位を保った戦いをして欲しいと。
香織も早苗も、どんどん成長していってる。是非『エイティーン』でまた、2人の成長を読みたいですね~。
誉田さん、期待してます~♪

水無月・Rさん、こんばんは♪
えへへ。玄田隊長の言葉です。これを探そうとして、再読モードに入ってしまいました。笑
この『セブンティーン』になって、タイトルの「武士道」という言葉が生きてきた気がします。
品位とか、品格とか、曖昧でわかりにくい概念かもしれませんが、それでも、武道を武道のまま保つことにも意義があるんじゃないかと思いました。
スポーツでも、武道でも、心を養い育てることができるなんて、きっと素晴らしいことだと思うのです。

決闘の場面、それどこ?となったので今度ちゃんと探してみます。正確な名前を覚えてない私(^_^;)
いやぁ~でも、大宰府あたりが登場してかなり嬉しくなっちゃいました。
勝ちにこだわるのも大切だけど、どんなものであれ心を養い育てる部分を忘れちゃ、つまらないですよね。
レナには、む~んとなっちゃいましたが、早苗から良い刺激を受けて変わっていって欲しいなぁと思います。
そんなところでも、エイティーンが楽しみです。

エビノートさん、こんばんは。
絵馬堂ですね! 大きな絵馬がかけてありますが、貴重な史料らしいのに保存状態が悪めで、年々、何が描かれているのかわからなくなっている気がします。
境内図を見つけました↓
http://www.dazaifutenmangu.or.jp/miru/keidai.htm#emadou

驚いたのは、「正式な梅ケ枝餅の食べ方は、2個の間にもあんを挟み、あん3段重ね」と同じ大宰府天満宮のサイトに書いてあったことです……。
早苗に太りすぎに要注意だよ!と言ってあげたくなりました。

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