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2008.09.28

龍の棲む家

龍の棲む家  玄侑宗久 2007 文藝春秋

タイトルが目に付いたので買ってみた。
クリス・ダレーシー『龍のすむ家』の2巻を探しに行ったときのこと、隣の隣の書棚にあったのだ。
一文字違いのタイトルを並べてみたくなった。もちろん、中身はまったく関係ない。一文字の違いは大きい。
それにしても帯がないとバランスの悪い表紙だ。

老いゆく父と同居することになった主人公男性、幹生。
母親は既になく、幹夫自身も単身。兄は隣家に住むが、影は薄めだ。
認知症(作中では痴呆症)の描写が丹念だ。徘徊やものわすれ、物盗られ妄想といった描写は比較的たやすい。
この著者の描写が丹念であり、上手だと思ったのは、会話の微妙なかみあわなさ、である。
言葉の次元ではかみ合うことが減っていく親子の会話。心は言葉に振り回されやすく、親子の関係そのものが壊れていくと感じる人もいるだろう。
そこを、あえて、「言葉の意味を超えて通じ合う何物か」を模索して、提示してみせる。

家族が祖母の認知症に気付いたとき、私の家族では「まだらぼけ」と言い表した。
ふとした瞬間にはまったく普通に会話が成り立ち、認知症を感じさせないが、違う瞬間には会話がかみ合わず、こちらが混乱させられる。
梨木香歩『エンジェル エンジェル エンジェル』も、そういう行ったり来たりを絶妙に表していた。
いささか教科書的に感じるほど、よく調べてあるものだと思った。認知症の進行の様子や対応の仕方なども含めて、思慮深く再構築されている。
佳代子の存在といい、小説だから起きる幸運もいっぱいなのだけれども、いつかくるときを思い描く手がかりに広く勧めたい本だ。

共通の形式を措定し、分類し、整理するのは、多種多量の情報を把握できるサイズに圧縮するための、マクロな思考法だ。
しかし、実際の臨床の場面は、ミクロな実践法が必要であり、圧縮したものを解凍し、個に対応しなければならない。
介護には、知識だけでは不十分だ。根気強い、忍耐強い、行動が要請される。
自然、主人公の父親に自分の父親が重なり、主人公と同じ境遇に自分が置かれたときを考えずにいられなかった。

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