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2008.07.05

ラブコメ今昔

ラブコメ今昔  有川 浩 2008 角川書店

勘弁してください。
これ以上は、涙腺がゆるんでどうにもならなくなります。
威風堂なき今、杏子ちゃんの新しい職場に買いに行った最初の一冊。

中身を知らない人は、表紙を見ただけでは内容の推測は難しいだろう。一見しただけでは意味不明な暗号の数々がちりばめられている。
裏側にこっそり『クジラの彼』も隠されている通り、同じ路線を引きついだ二冊目だということが、ファンにはわかる。
6編の自衛隊+恋愛モノという、有川さん登場以前には異種格闘技に近いような組み合わせの、ベタ甘を誇る短編集。
作者近影がりりしくてカッコいい。

「ラブコメ今昔」
雑誌掲載時に既読。そのときにも感想をアップしているので、リンクを参照。
人差し指で体重を支えちゃうところに、やっぱりほれぼれする。素敵。

「軍事とオタクと彼」
初読。
ああ、参ったな。ハッピーな場面で、涙が出た。最近、人の幸せに弱い。
仕事中に読んじゃいけないよなあ。と、慌てて涙を拭いた。
私には大事な人の優先順位、仕事はともかく休日で、私よりも優先のものがほかにあったら、疑心暗鬼になる。
とはいえ、あまり公言したくない趣味とか、公表したくない習慣とか、大なり小なりあるわけで。
安心して素をさらしてつきあえる。そんな相手は貴重だってこと。とってもね。

「広報官、走る!」
既読。
業種によって文化が違い、職場によって風土というものがあるもので、時にそれが衝突の火種になる。
そこで人心の掌握を心がけず、他者を踏みつけていることに気付かない王様は、ひきずりおろされるものなのだ。
お気に入りの女の子のために、がんばる主人公。心を守るために頑張るように、きっと命を守るためにもがんばるんだろう。きっとね。

「青い衝撃」
これも既読。雑誌掲載時に読んで驚いた一編。有川さんって、こういうのも書くんだ。
この本の中でも雰囲気が変わり、全体を引き締める役割を果たしている。
これも、疑心暗鬼になるときを生々しく描く。人を疑心暗鬼にさせる悪意を。
所帯じみていることを誇ってくれるだんなさんが素敵。バカでお調子者でも、押さえるところを押さえた愛妻家ぶりは付加価値が高い。
結婚して何年経ったとしても、かわいいと抱きしめられたら、蕩けるよなあ。

「秘め事」
もひとつ既読。タイトルから期待したものとは違ったんだけれども、確かに秘め事。
有川さんらしい話であり、だからこそ、新鮮さが薄く感じてしまった。そこここに既視感を持ってしまった。
名古屋港水族館、行きたいなー。行ってみたいなー。ひつまぶしも食べたいなー。夏に名古屋に行く楽しみが増えた。
何となくや気分で済まされるような関係だったと思わせられることは、どれほど心を切り裂くことか。

「ダンディ・ライオン:またはラブコメ今昔イマドキ編」
書き下ろしのこの一編はもちろん初読。期待していたカップルのストーリーだ。
このタイトル、新井素子を想起した。なんに出てきたんだっけ。
少しかすれた低い声、甘く腰に来る声の持ち主で、言葉足らずのへたれって、しかも手がセクシーだなんて、吉敷二曹、私のツボ。最後の最後で、うきゃーっ♪とやられた。
女の子も、男の子も、みんな幸せになるんだよ。幸せにならなくちゃね。

最後の最後で男性陣は詰めが甘くて、度胸の据わった女性陣が助け舟を出す。
それは、見方を変えれば、有川さんの描く男性が、女性を傷つけない、女性を大事にする、尊重する、優しい男達だということだと思う。
私はそこに有川作品の魅力を感じる。もちろん、女性がかっこよかったり、力強かったりするのも、気持ちよく読める重要な要素だ。

自衛隊に対する感情は複雑なものがある。
私は、日本国憲法第9条を誇りに思うからだ。
しかし、現実として、世界は奇麗事だけではやっていけない。
また、災害時における自衛隊の活躍の実績は、既に国内で無二のものである。
海外派兵については前の政府が慎重さに欠けたと思っているが、伊勢崎賢治『武装解除』が提案するように貢献の方法や余地は他にもあるのだろう。
不祥事は、自衛隊であれ、それ以外の組織であれ、等しく困ったものであるのなら。
困った人たちを除いた、他の一人一人の自衛官は懸命に練成して、やっぱり国という枠や土地の中にいる、私や私の大事な人たちを守ってくれていることになるわけで。
私の気持ちがやや好意的・肯定的な方向にシフトしたのは、紛れもなく有川作品の影響だと思う。

だから。吉敷の写真に託した思いは、作者の本書への思いであるように感じた。

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小説(日本)」カテゴリの記事

コメント

TBありがとうございました。
こちらからもお返しいたします。

既読の短編でも、単行本になって読むと、また違った感じがします。
ましてや、半ばシリーズともいえる作品集であり、
さらに関連の読みきりまで収録されていたりすると!

満足の一冊でした。

白い怪鳥さん、ありがとうございます。
同じ作品でも、読み手の気分によって読み返すたびに感想が変わったりもしますものね。
この読みきり、雑誌にシリーズを書いている最中から、企画されていたのかなあ。
シリーズの(いったんの)締めくくりとして、この読みきりの存在感が大きかった気がします。
いずれまた、第3クールがあることを楽しみにしたいですね。

あいかわらずの有川節にヤラレまくりでした(笑)

私も有川作品を読んでから、自衛隊&自衛官に対する気持ちに変化がありました。一括りにしてはいけないんだな~と、当たり前のことを思い出したり・・・^^;

すずなちゃん、ども。
有川さんが自衛隊の広報になりきっちゃったら嫌だなあと思いつつも、自衛隊への好感度はあがりました。
一人一人の人はきっと頑張っているんだから、それぞれが誇れるような姿を追求してくれたらなあ。

香桑さんこんにちは。
へ~。こんな本、出てるんだぁ。・・・って焦ったわっ!早速アマゾンで買ったわっっ!!

と、実は今日はそのことじゃなくてですね。

9月6日、7日にお仕事で福岡に行くことになりそうなんですね。それで7日(日)に時間空けれそうか、どうかまだはっきりとはわからないのですが、もしよければエビノートさん(http://blog.livedoor.jp/ebinote/)ミーさん(http://blog.livedoor.jp/quellivre/)とご一緒にお茶でもできないかなと思いまして。
まだみなさんに確認メールを送ったところなので、何とおっしゃるかはわからないのですが。

このコメントにはURLの代わりにメルアドを打ちましたので、良ければそちらにメールくださると助かります。
念願の博多ですので、今から楽しみにしています★

やぎっちょさーーーーんっっっ!!
メール、送りました。届くといいな。
喜んで参加いたします。大歓迎です。
お誘いありがとうございます♪

『ラブコメ今昔』は有川さんらしい短編集です。
連載中、有川さんの作風の幅が広がっていくのを感じた一連のシリーズです。
『別冊』を読んだ後で、そこまで甘さを感じなかったのは……慣れ?

香桑さん
ふっふっふっ読みました。なむー。
ラヴですなぁ~。ラヴですよぉー。ここにラヴがありますよー!!(人のブログのコメントで何を書く・・・)
別冊図書館戦争2が楽しみです♪♪

やぎっちょさん、読了お疲れ様~☆
どの愛もハッピーでよかったですね。
表題作の今昔が、やっぱりよかったです。
別冊2で、また盛り上がりましょう!

甘いだけじゃなく、シリアスな面も描かれていて、そのバランス感覚の上手さはさすが有川さんといった感じですね。
あまり縁のない自衛官。どんな気持ちでその職に携わっているのか、その一端を垣間見た感じでした。
どんな仕事であれ、仕事に誇りを持っている人の姿ってカッコイイですね。

エビノートさん、こんばんは。お礼が遅くなりました。
ほんと、仕事に誇りを持っている人の姿はかっこいいです。
普段は見ないから知らないかっこよさを、有川さんは垣間見させてくれたのだと思いました。

香桑さん、こんばんは!
昨日は原稿をUPするだけで力尽きてしまい、TBめぐりの旅に出ることができませんでした(笑)。
ていうか、水無月・R、悶えすぎ。
でも・・・確かに、有川作品で萌えても、自衛隊のあり方、組織内の問題、色々あって一概にどちらかにだけ軍配を上げるわけにはいかないですね。
それでも、自衛隊の方々に頑張ってもらいたいな、親しみをもっちゃうな、という気持ちになります。有川さんの影響かな(^^)。

水無月・Rさん、こんにちは。お疲れ様でした!有事に臨む覚悟や態度をラブコメで味付けすると最強ですね。
酒でもなんでも持ってこい、ぐらいの勢いで。
やっぱり、筋がぴーんと通った在り様がかっこいい。
ほんと、一人一人に頑張ってもらいたいです。

香桑さん、こんばんは。
TBありがとうございました。
自衛隊と恋愛モノにこれほど興奮し、または涙するなんて、有川作品に出会うまで思いもしませんでした。
甘さで蕩けた気持ちに、シリアスな言葉が真っ直ぐ突き刺さります。その間合いが上手い。
カメラ(一眼レフがよい)を手にする男の手に浮ぶ血管が好きなので、吉敷二曹はドンピシャでした。
またお邪魔させて頂きます。これからもどうぞよろしくお願いします。

雪芽さん、どもです! どうぞ気軽においでくださいませ。私もお伺いいたします。

雪芽さんは血管なんですね。私は指の長さとかかなぁ。
吉敷二曹はぜひともまた登場して欲しいキャラです。
この本は短編集ということもあって手にとりやすく、もう何度も読み直してしまいました。

こんばんわ。TBさせていただいたのですが、反映されていますでしょうか。
やっぱり有川さんは良いですよね。
有川作品を読むと、恋がしたくなります。
「ラブコメ今昔」のあのシーンは、私もやられたらコロッとやられてしまうと思いました^^;
ああいう風に夫婦で年を重ねられたら良いですよね。

苗坊さん、こんばんは。
TBは届いていません。よろしければ、もう一度だけ試してもらえませんか?
どのカップルも魅力的で、男性は女性の心を掴むのが上手ですよね。
男性読者が増えると、魅力的な男性も増えるような気がしません?

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