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2008.07.11

不都合な真実

不都合な真実  アル・ゴア 2007 ランダムハウス

肌を焼く暑さに眉をひそめたことはないか?
雨がスコールのように叩きつけるようになり、雪が降ることが減ったと感じていまいか?
花の季節が暦からずれていることに気づいたことは?
巣の中の鳥のヒナが減っていないか? 虫は増えているのに。
変化を感じ取り、真綿で首を絞めるような滅亡の予感、危機の不安を抱いている人には、無用の本であるかもしれない。
体感しているものを信じず、拒絶し、否認している人もいるかもしれぬ。いまだ実感を得ていない人もいよう。彼らのために問題提起をし、直面化を図るための本だ。
ただし、問題のあまりの途方もない大きさに、無力感や諦念ばかりを持つかもしれないが。

アメリカらしい。それが第一印象だった。
プレゼンの手法はもちろん、訴え方にアメリカ的なヒロイズムに満ちている。
アメリカ人が、アメリカ国内に向けて書いた本であるから、当然であろう。
自然に、無自覚に発露した、著者が拠って立つ文化の根源にあるヒロイズムなのだ。
アメリカの世界における被害を示し、原因を示し、責任を示し、役割を示し、地球の守護者として再生するためのプロパガンダとして、読むことができる。。
すなわち、アメリカの「俺たち、えらいぞーすごいぞー」というナルシシズムの伝統である。

皮肉を書いていても仕方がない。
科学的な説明の真偽は私にわかることではないが、写真を見て、胸を痛めることはできる。
ここしか住む場所はないのに、ここを滅ぼしてどうするのか。そんな単純なことを、人はたやすく見失う。
人間も自然の一部に過ぎないことを忘れてしまう。ほかのすべての生物が死に絶えたとき、人間もまた生き残れるわけがない。
いかなる経済成長を阻害されることは受け入れられないと言っても、その経済を支える人間を殺してどうするのか。環境を壊してどうするのか。
私も、経済や文化の成長の恩恵を享受してきた一人であることは否めまい。他者の成長を邪魔する権利はないとは思う。しかし、他者に私を殺す権利もない。私はそんなものを与えはしない。

before/afterを見比べる図版が多い。
1つ、残念だったのは、現在と予想される未来と比べているものと、過去と現在を比べているものの二つのタイプがあるため、後者が前者と混同されやすいことだった。
悲劇は未来に起きるのではない。既に、悲劇は始まっている。

だから、小さくてもできることを。
地球を守り、地球を救うため、ヒロイズムの助けを借りて、ほんの少し戦ってみてはどうだろう。
楽をしたがる自分の中の誘惑と。私と、私の大切な人たち、ものたちのために。

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