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2008.06.23

光の帝国:常野物語

光の帝国―常野物語 (集英社文庫)  恩田 陸 2000 集英社文庫

なんとなく気になっていた本をいただいた。
恩田陸、初挑戦。

こういう世界は好きだなあ。
短編集なので、すべてばらばらなのかと思いきや、どこか遠くで糸が繋がっていいる。
常野と呼ばれる一族の末裔たちをめぐる、一連の出来事。

もしかしたら、自分の居場所はほかにあるのではないか。
今ここではなく、どこか遠くに。
子どもの頃、そんなファンタジーを持ったことはありはしないか?
角笛に呼ばれることを夢見、衣装たんすの奥に入り込んだことや、鏡の裏の世界を覗き込もうとしたことはないか?
なにか特別な力を与えられ、なにか特別な運命の元に呼ばれ、なにか特別な使命を背負い、なにか特別な仲間と出会い、なにか特別な私が生まれる。

しかし、少数派であるというだけで「特別」になってしまう側から見ると、迫害される悲しみがあるかもしれぬ。
ただ当り前に生まれただけであるのに、特別なものを勝手に用意されてしまって。
そんな葛藤を織り込みながらも、すっきりと淡く優しく儚げに、幻が田舎の風景に描き足されていくと、とても魅力的な人々が透けて見えてくる。
見ようとしたら姿が見えなくなる妖精のような人々だと思った。
直視しては見えない。視界の端で捕らえることが、妖精を見る方法なのだ。

短編は、それぞれ持ち味、読み心地の違うものもあり、飽きることはないだろう。
常野の一族の伝説や噂話のような、遠くのほうに位置する物語から始まり、読み進むにつれて、少しずつ、どのような一族であるのかがわかるような順序で収められている。
できれば、もっともっと、この魅力的な一族の物語を読んでみたい。いくらでも膨らむ世界であるように思う。謎は、いっぱいだ。

読み終えて、馴染みの本屋さんに行った。
「恩田陸の本を」と尋ねると、即座に常野物語の二冊目があると出してくれた。
話すだけで読みたい一冊を選び出してくれる、こんなレファレンスサービスの充実している本屋さんが閉店するのが、とてつもなく残念だ。
買い忘れている本が次々に思い浮かぶ……。
あー。ほんとに寂しくなるなあ。

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コメント

香桑さん、こんばんは(^^)。
常野の人々は際立った能力を持ちつつも、常に野にあれと自らを律する。
そんな美しい特別な人々の物語。とても不思議な印象を受けました。

水無月・Rさん、こんにちは。
心持と顔つきの美しさを取り戻して欲しい、というのが、作者の願いなのかなあ、と思いながら読みました。
こういう連作短編集は、長編ならば複線になりそうな糸が、断ち切りのまま置いておかれるので、ますます続きを読みたくなりますね。

 初めまして。あなた様のボトルメールが私のブログに流れ着きまして、訪問させていただきました。
 本がお好きなんですね。私もパソコンや携帯サイトと向かい合っていないときは、本を呼んでいることが多いです。私の場合は推理小説が多いですが(後、マンガも多いです)。今好きな作家は有栖川有栖先生と時雨沢恵一先生です。前者は推理小説、後者はライトノベルの先生です。
 記事的にはアニメやオンラインゲームのことが多いですが、自分で書いた小説の連載もしています。よろしければこちらのブログにも遊びに来てください。

ありささん、こんにちは。コメント、ありがとうございます。
ボトルメールを最後に流したのはずいぶん前のこと。流れ流れていくものなんですね。海辺の景色が綺麗で、使わなくても飾っています。
またいずれ、お伺いいたします。

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» 『光の帝国』恩田陸 ◎ [蒼のほとりで書に溺れ。]
常に野にあれ、と自らを律していたという様々な不思議な能力を持つ一族、「常野」。その、様々な能力を物語る短編集、『光の帝国』は、恩田陸らしさの際立っている作品である。 [続きを読む]

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