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2008.05.15

夜這いの民俗学・夜這いの性愛論

夜這いの民俗学・夜這いの性愛論  赤松啓介 2004 ちくま文庫

コツとアジワイがあるという。前者が技能練磨的であるならば、後者はそれに人格的熟成が加えられものだ本文中に定義されている。文章にもアジワイがあり、赤松の名調子のアジワイは他の追随を許さない。
関西弁で、あけすけにずけずけと語る名調子。古い地名や歴史的名詞、隠語、方言などに戸惑うが、歴史的なワイ談の集大成として魅力的な一冊である。
上野千鶴子が解説を書いているところにも、にやりとした。

『夜這いの民俗学』は再読であるが、『夜這いの性愛論』は今回が初読だったかもしれない。両者、内容の重複はあるが、どちらも、明治から大正、昭和初期の、村や町の人々の生活が性風俗を中心に活き活きと描かれている。なお、前者が主に播磨あたりの山村を舞台としており、後者は大阪の町を舞台にする。
今は失われた庶民の生活の資料として非常に面白い。多少の誇張や偏向はあったとしても、それを確かめる術は既にない。なにしろ、著者の体験に基づく記述であるため、反論しようにも反証の材料を集めることことが困難であろう。
同じ時代を生きた人は、既に鬼籍に入っていることと思われる。したがって、著者が「タダで教えるのはもったいない」と割愛した部分も、もうどうにも知りようがない失われた知識となった。

自分の女性を意識し始めた高校生の頃、瀬戸内寂聴の本を読んだ。『ブッダと女の物語』だったか、書名を記憶していないが、必ず女性の身体を「糞尿のつまった袋」と形容しており、非常に嫌な気分になった。
次に出会った上野千鶴子『スカート下の劇場』ほか、一連のフェミニズムの文体は、明晰で、切れ味のよいものが多かった。痛快でスリリングなものもあれば、好感が持てないものがあったり、ますます女性性をネガティブに意識させられた気がする。伝統的な女性性を否定されると、その伝統を既に内在化させている自分の一部を否定されることになるからだ。しかも、当時のフェミニズムは運動の側面を持っていたことから、多様性を無視しやすい、抑圧しやすい傾向を持っていたと思う。
そのうちに、赤松を読んだ。このざっくばらんで、平然として自然な肯定的な境地はなんだ。たまげた。理論武装してぐちゃぐちゃ考えるのは、あほくさ、という気分になった。そこで、フェミニズムに対する私の興味は終息したのである。だから、思い出深く記憶していた。

本書が面白いのは、性風俗に関するワイ談的側面だけではない。
商家の中の生活空間や、人員構成、階層比較など、性以外の面での描写も、具体的で説得力があり、包括的で新鮮である。
更に、柳田民俗学への批判は舌鋒鋭い。戦時下での学問のありようを問う点で、他領域の研究者も傾聴に値する警句が含まれている。
昨年、筒井功『サンカの真実 三角寛の虚構』を読んだ後、そういえばと赤池のことを思い出した。しかし、私が探していた本とは違っていたらしい。再確認したいことがあるのだが、だとすれば、私は一体何を読んでいたのだろう?

女性33歳の厄払いという習俗が出てきた。そう考えれば、元彼とのつきあいもなんだか愉快になった。
年齢の計算があわないような気もするが、あれも一種の厄払いということで、厄と一緒に払ってしまった。そういうことにしておく。
でも、やっぱり、上野なんと言おうと、赤松がなんと言おうと、私はロマンティック・ラブに憧れを持つなあ。私はえせフェミぐらいがちょうどいい。

 ***

運動ができん時代は、なにもせんでもええやないか、わざわざ敵の太鼓をたたいてやることはない(pp.19-20)

人間の世界にあまり幻想をもたぬことだ。(p.73)

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