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2008.03.13

女王の矢:ヴァルデマールの使者

女王の矢―新訳 (C・NovelsFantasia ら 1-1 ヴァルデマールの使者)  マーセデス・ラッキー 澤田澄江(訳) 2007 中央公論新社(C.NOVELS)

使者タリア。
ケロウィンやエルスペスの物語に、少しだけ登場しており、名前には覚えがあった。
目立たない役割の彼女には、こんなに素晴らしい物語があったとは!
創元推理文庫の同作者のシリーズと訳をすりあわせてあるとのことで、違和感なく読むことができた。

ラッキーらしい、元気な少女ががんばるファンタジーだ。
愛してくれる家族は一人ずつ減り、一族の厄介者と扱われ、数冊しかない本を読むことだけが密かな楽しみの少女。
辺境に生まれた不遇な少女は、いつか広い世界で活躍する夢を見ていた。手が届かない夢を見ていた。
強く、強く。誰よりも。
願いは、出会いの奇跡を引き寄せる。運命に選ばれし者となり、必要とされ、尊敬される人生を手に入れるため、歩き始める。

マーセデス・ラッキーの書く小説が、数あるファンタジーの中で一番好きだ。
乗馬を始めたのも、ラッキーの小説の影響が大きい。共に歩むものたちやシン=エイ=インの戦馬、アシュケヴロンの馬たちと、馬たちが必ず出てくる。
汗のにおい、つややかな毛並み、やわらかな鼻先、股の内側で感じる温もり。
私はまだまだ拙い乗り手であるが、馬と触れ合うときは、タルマやケロウィンらを思い出して嬉しくなるのだ。

また、この作家は、戦争を描かせても圧巻であるが、心理療法にも造詣が深いのではないかと、しばしば感じさせられる。少なくとも、作家は戦闘や戦略についても詳細であるだけではなく、戦争がもたらすものをも見知ってきたのではないか。
たとえば、PTSDの概念は、ヴェトナム戦争の帰還兵の心理的状態を説明するものとして洗練されてきたものだ。
本書で明らかになる、タリアの能力も、まさに心理療法家(それもPTSD専門)としての才能である。
しかも、ラッキーは、女性の暴力被害について、同性愛の問題について、男女の同権について、ジェンダーの問題にも敏感であり、しかも、啓蒙的な側面を持っている。

ファンタジーの王道でありながら、人物も生物も、地に足が着いており、しっかりと息づいている。
ヴァルデマール年代記は他社から何冊も出ているが、ここから読み始めるのもいいと思う。
ファンタジー好きな人には是非とも読んでもらいたい。大人の女性にも楽しめること、請合いする。

 ***

  天翔の矢:ヴァルデマールの使者3
  宿縁の矢:ヴァルデマールの使者2

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コメント

この著者は初めて知ったという無知ぶりを発揮しつつ^^;
なんだか、とっても面白そう!
海外物はちょいと苦手なんだけど、食指が動くなぁ・・・。むーん。

すずなちゃんに勧めたかった作者です。
面白かったよー。力いっぱい面白いんだよー!!
創元社文庫の『女神の誓い』から始まるシリーズではまったんだけど、とっつきは、どちらからでもいいと思います。
ぜひ、いつか読んでね♪

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