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2008.03.26

武装解除:紛争屋が見た世界

武装解除  -紛争屋が見た世界 (講談社現代新書)  伊勢崎賢治 2004 講談社現代新書

なんて私はものを知らないのだろう。
反省することも多い本だった。
私に何ができるのだろう。
考えさせられることが多すぎて、簡単に感想を書くことができない。

「現在の日本国憲法の前文と第九条は、一句一文たりとも変えてはならない」(p.237)

私もそう思う。
が、私は、著者のような実践もなく、体験もない。そんな私が何を言えるのだろうか。
こんな活動をしている日本人がいるんだということも驚いたし、こんなにもやれることはまだまだあるんだとも考えさせられた。
森絵都『風に舞いあがるビニールシート』を思い出すと同時に、これは小説じゃないと唇をかむ。

和解という暴力があるということ。
たとえば、日本が「戦後」からこれだけ時間が経ったけれども、国際感情も国内感情も、なにかにつけてしこりが再燃する。
戦闘状態を終わったばかりの土地で、隣同士で顔を見合わせるような人たちの間に、しこりがないわけがない。
和解の美談は、その情緒的な問題を置き去りにする。押し潰そうとしても消えないしこりは、より大きな傷になるのではないか。
復興事業というと、福祉や教育など、なにか綺麗なものを作ることばかり発想してきた自分のあさましさが悲しくなる。

アラビアのロレンスが苦労したことを思い出した。
法の正義を実現すること。国際的にも烏合の衆と嘲られることがなく、国内的にも安全と平和を実現するためには、法と正義のシステムを立ち上げなくてはならなかった。
モラル・ハザードを引き起こしては、次の紛争の準備期間に入っただけだ。
独裁者を殺してしまえば、紛争が終わったことにしてしまえば、今日からハッピーな毎日を民衆はスタートさせるなんて、どうして思い込むことができたんだろう。
平和は自動的に訪れると思い込むことは、自らが夢見がちな世間知らずであることを露呈する。

本書によると、現代の紛争処理では、最初の民主的な選挙の実行が、一つの目安になるそうだ。道理で、報道が熱く語るわけだ。
すべての国家を民主化しないと気がすまない、某国の「民主主義&資本主義」万能ファシズムも困ったものだが、介入したからにはきちんと後始末まできちんと整えるのが人道ってものじゃないのだろうか。
最初の選挙までに行わなくてはならないのが、DDR。本書の主眼となって紹介されている和平プロセスである。
Disarmament, Demobilization & Reintegration。それぞれを訳すと、武装解除、動員解除、社会再統合。
完遂するためには、無限のマンパワーとそれを支えるコストがかかる。だけれども、完全ではなくてもできるかぎり、一つ一つ地味で困難な作業を積み重ねないと、平和は作ることができない。

自衛隊がコミットできると素晴らしいなあと思う作業があることも知った。
9.11がアメリカにとっては自業自得だという意見の根拠もよくわかった。
この本から4年がたった。ブッシュJr.の任期も終わる。東チモールやシエラレオネ、アフガニスタンはどうなったのだろう。
そして、イラクではどう行われているのだろう。おりしも、チベットに不穏な風に吹いている。
続きを知りたい。

もともと、私は戦争は嫌いだ。軍隊は嫌いとは言いきれない面がある。持たずに済むならそれに越したことはないが、丸腰で世界を渡っていけるほど、隣人が優しくないこともあると知っている。持たない力は使いようがないが、力を持っていても使わないという選択肢を考えられるぐらいには成熟した、つもり。
法律を変える前に、現行の法律の中でできることの最善を尽くしたのだろうか。
教育基本法が書き換えられたときに十分に議論されなかったが、私は声を大にして言いたかった。
言葉を変えるだけでは意味がない。むしろ、言葉を変えただけで、内実を変えたと勘違いすることのほうが問題である。言葉を変えるのは、最善を尽くしてもなお足りないときだけで十分だ。果たして、最善を尽くしたのか。
言葉だけを変えたがる、表面を取り繕えば解決したと勘違いするような浅はかな人間ではありたくない。
だから、私もできることを、探していこうと、取り組んでいこうと、思うのだ。

私の拙文を読んでくれたあなたに、是非、この本を読んで欲しい。

 ***

劣等感のある人間は、自分の身近にまず見下せる同胞を探し、自分が上のクラスに取り入れられるためにそれをことさら差別する。(p.15)

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