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2008.02.10

塩の街(単行本)

塩の街  有川 浩 2007 メディアワークス

積んだまま数ヶ月。発売直後に購入したまま、積んで塩漬け状態。
このたび、ようやく読みました。
『阪急電車』の前から読み始めて有川作品を読むぞー!と気分を盛り上げるためでした。
文庫本のときの感想は → 塩の街:wish on my precious

 ***

未来がいつまでもあるとは限らないのに。

文庫本を読んだときには、作者の背景まで思い至らなかったのであるが、この物語を動かす天変地異を阪神淡路大震災に重ねると、喪失の体験のアクチュアリティに胸がふさいだ。

いつも、いつまでも共にいられるという保障はないのに。

現実にはありえないであろう空想の物語は、永遠という幻想を奪われた体験の現実性を有している。
有限性の現実感は、幼い子どもには感じられないものだ。万能感の傷つきは、大人が経験してきたものだ。
万能感に酔うのでもなく、万能感の傷つきに腐るのでもない。
だからこそ、この物語は、ラノベの枠組みを超えて、年齢に関わらずに読まれる可能性を持った。

どうして、私の好きなものを人が決め付けてしまうの。

たとえ傷ついていたとしても、登場人物たちはだからといって生きるのをやめはしない。
一長一短。どこか優れていれば、どこかまずいところもあるようで、ごまかすこともあれば、やさぐれることもある。
子どものような純粋さで、表面を偽善的に取り繕うことをしない人物の造詣もまた、有川作品のその後に受け継がれる特色だろう。
子ども相手に容赦をしない。子どもだましを狙わない。
といっても、デビュー作だからか、ずいぶんと秋葉も入江も英雄的な属性を持っているが。

世界はもう優しくないと、わかっていたはずなのに。

それでも、恋をする。
それでも、希望はある。
それでも、人は生きているのだ。

世界が突然変わってしまっても、命は続いていくから。

マナは、神が与える食糧。神の恩寵。
罪と罰に世界が覆われるときにも、どこかに希望は残されているように。

塩の街のその後の模様も三編収められており、文庫本と比べると、世界がさらに深まっている。その後の作品と見比べても遜色のない完成度を得た。
設定の小さな変更修正のほか、内容面でも大きな改訂がなされている。それがまた、自衛隊三部作の陸の部としての印象を強くして、本来の姿がこれであったのかと思わせられた。
そういえば、この年の差カップル。年の差ぶりに、新井素子や川原泉の影響を見出してみた。そういうところも好きだったりする。
早く読んでおけばよかった~。

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コメント

こんばんは。
デビュー作の改訂と後日談の追加で、大満足の一冊になりました。
秋庭と真奈の甘~いやりとりや、サブキャラが主役になった話を楽しく読めました。
ライトノベルゆえの裏事情などもわかって興味深かったです。
爆撃シーンの削除はちょっと残念ですが、こうなると、文庫版の特典って思えたりします(笑)。

ようやく読まれましたかぁ。
よい加減に塩漬けされてたかな(笑)

その後のお話が良かったね。
読み終わった後、あ~これで本当に完結したなと思ったよ。

香桑さん、こんばんは(^^)。
TBとコメント頂いてたのに、遅くなってしまい、失礼しました。
自衛隊3部作、きっちりと描かれてましたね。
有川さんの「愛」が伝わってきました。
サブキャラのお話も良かったですね~。出来れば「ノブオの記事」読んでみたいです。入江がいい加減なこと言っててくれそうで(笑)。しかも至極真面目にそれを記事にしてそう(^_^;)。

>藍色さん
爆撃シーン、私も結構好きだったので、この改訂には驚きました。総じて、単行本のほうが完成度が高いですよね。

>すずなちゃん
ほらほら、触ると塩がぽろぽろと……というぐらいの塩漬け状態でした。笑
この終わった感じは、多分、作者の中の大災害が過去のものになってきた感じに近いと思った。

>水無月・Rさん
ノブオは、まず間違いなく、入江に言いようにからわかれて遊ばれますね! 秋葉と真菜のことも無いこと無いこと言いふらして、後で秋葉に入江が怒られるんだ。笑

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