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2008.01.03

一瞬の風になれ(3):ドン

一瞬の風になれ 第三部 -ドン- 佐藤多佳子 2006 講談社

1巻から続けて読んだが、これが一番、分厚い。
昨夜のうちに読み終わる予定が、目測を誤り、今日に持ち越してしまった。
よって、正月休みの読書はここまで。

冒頭から、青春です。
読んでいて、うひゃあと照れちゃうのは、特に恋愛方面。
初々しくて、微笑ましくて、読んでいるこちらが頬を染めたくなってしまう。
部の全員が気付いて、にやにやと見守っている様子が、これまたいい。

健ちゃんは、やっぱり新二の自慢のお兄ちゃんだった。健ちゃんへの引け目とか罪悪感とか、いろんなものを振り払って、新二は兄とスポーツマンとして対等になる。
対等であることを認めるということは、相手に対して言い訳できない、言い訳しないということだ。
サッカーでは才能や弟の立場を盾に言い訳することもできたが、ここから先、新二が走り続ける限り、同じ世界にいる……。なんて素敵なんだ。

ほろりと涙腺に来たのは、引退した先輩達が試合を見に来たシーン。
特別な試合。特別なレース。最後の大舞台へ向けて。
盛り上がる物語から身を引かざるを得なかった人たちの祝福に、じーんと揺り動かされる。

主人公は、彼らは高校生なのだ。その雰囲気が随所にあふれている小説だった。
最初は軽い口調が若者過ぎて気になったけれども、話が進むにつれて、確実に成長したと感じる。
陸上の選手としても結果が出るようになっていき、そのために身体的にも鍛えてきた。そして、精神的にも逞しくなっている。

高3になった新二はもう試合の前にトイレに駆け込むことはない。
視野が徐々に広がっていく。自分のことでいっぱいいっぱいになることもあるが、レースが一期一会であること、しかし、その営みは連綿と続いたことであると思いを馳せることができるようになった。
友人との関係、先輩や後輩との関係、教師との関係、恋愛の関係、兄弟や家族との関係。結ばれ深まる関係の中で、かけがえのない自分をしっかりと見つめ、自分の道を走り出す。
人物達の様子を映像で見るわけではないのに、しかも一人称の小説で、登場人物の成長を文章で書き表した作者の技量がすごい。

この後はどうなったのか? 想像の余地が残る。
知りたいけれども、これでいいのだとも思う。
きっと彼らは走り抜けた。今も走っているかもしれない。それでいいのだろう。
イチニツイテ、ヨウイ、ドン。
ここがスタートライン。ここから始まる。走り始めたばかりなのだから。

ちょうど箱根駅伝の時期と重なり、どうしても三浦しをん『風が強く吹いている』と比べずにはいられなかった。
高校生と大学生。一人称と三人称。短距離と長距離。共通する熱さや速さを持ちながら、異なるところも多い。しかし、同一の地平の上に並べたくなる。
どちらが優れているかなどと私が判じることはできないし、言えるとしたら、所詮、私の好き嫌いだけになる。
読み終えてみると、『風が強く吹いている』のハイジや走らの高校時代を、『一瞬の風になれ』は見せてくれた気がした。同じ人物ではない。しかし、同じ陸上の世界にあり、一本のバトン、一本のたすきを、過去から未来へと運ぶものとして。
彼らはフィクションではあるけれど、箱根を走りぬいた人や、途中で涙を流した人たちの、テレビに映らぬ日々が思いやられた。

道は違っていても、きっと道は続いている。
曲がっていても、折れていても、目の前に、光る道。
自分だけの、自由へと続く長い道。

 ***

  一瞬の風になれ(2):ヨウイ
  一瞬の風になれ(1):イチニツイテ

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小説(日本)」カテゴリの記事

コメント

読了おめでとう!
新二やみんなの成長が嬉しくもあり寂しくもありの3巻だったね。
私にとっては、スポーツ選手達のTVに写らない姿、本番までに過ごしてきた時間を想うことが出来るようになった作品でした。
今年の箱根駅伝を見ながらTVの前で思わず涙ぐんじゃったよ;;;

ありがとう!
オススメされていなかったら、本屋さんで見過ごしていたかもしれない本でした。面白かったです。
このシリーズ、書き込もうとしたら、もっと分厚いシリーズになったかもしれないところを、意外とさくさくあっさりと進めてきた感じでした。それが、だんだんと省略できなくなって、三冊目はこんな厚さになったんだろうなあ。
本当は終章に、新二と谷口さんの卒業式の1コマなんてものが見たかったです♪笑
今年の箱根駅伝は、見ていてつらい場面もありましたね。つらかっただろうなあ……。

室長〜♪
寄らせていただきましたぁ(^^ゞ
いや〜・・・レビューを読んだだけですっごいドキドキしてきたんですけどf^_^;
これは映像だけじゃなくて、ちゃんと活字で読んでおきたいな、と思いました。

読んでいる私も走っている時の風を感じるような本でした。
登場人物みんながいとおしく感じられました。

>うっちぃ
いらっしゃいませ~♪ お立ち寄り、ありがとうございます。
ふっふっふ。近日中に荷物を一つ送りますねー。

>花さん
TBありがとうございます。
どの登場人物も好人物で、みんなを応援したくなりました。
ほんと、風を感じるような爽快な本でしたね。

TBありがとう〜♪
気付くのが遅くてごめんね;;;
読み終わって改めてレビューを読むと、本を読んでいた時の感動がよみがえっちゃいました☆(^^ゞ
本当にありがとうね♪(#^.^#)

あ、本はTちゃんに送りました〜☆

うっちぃ、改めて読了お疲れ様です。
本のこともありがとう。お手数をおかけしました。
レビューも読んでくれて、ありがとうね。

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・・・ふぅ。脱力。 もうね、気力体力精神力その他色んなもの総動員で読了!という感じ。すごい爽快感というか充実感で全身を満たされているような気がします。面白かった。楽しかった。いっぱいわくわくした。すんごいどきどきした。・・・どっぷり疲れた(笑)本当に疲れたよ。疲れたけど、心地よい疲労感。読んだぞぉーっ!読みきったぞぉーっ!という達成感?・・・もぅ、何言ってんのかわかんない。いつにも増して、ぐちゃぐちゃです。... [続きを読む]

» 本「一瞬の風になれ」 [<花>の本と映画の感想]
一瞬の風になれ 佐藤多佳子  講談社  2006年10月    第一部  イチニツイテ         第二部 ヨウイ        第三部 ドン ? サッカーの強豪で偏差値も高い私立校、海嶺で活躍する兄の建ちゃんといっしょのチームになりたかった神谷... [続きを読む]

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