九月の恋と出会うまで
知人のお勧めの一冊。
韓国映画の『イル・マーレ』や『リメンバー・ミー』を思い出すストーリーだ。
九月の恋は九月の奇跡の物語だ。奇跡がなんで起きるのかはわからないけれども、わからないから奇跡なんだろう。
主人公のさりげない日常の中で、気のせいだと片付けたくなるぐらいひょっこりと、不思議な出会いが起きる。
声が聞こえる。
声に恋をする。
未来の人から声が聞こえる。
時を越えて、恋は叶うだろうか。
かすれて低く、ゆとりがあって大人っぽい、時には甘く優しい声。
ハンサムだけど、寝癖が愛嬌、どこかもてなさそうなへどもどした外見の隣人。
これは同一人物なのか? シラノの正体は誰なのか?
未来から過去へ働きかけるとどうなるか。
時間を超えたSFは、シュレジンガーの猫であるとか、考えると面白いけれども頭がだんだんこんがらがってくる。
そう。それが謎なのよ。そのパラドックスが気になっていた!というところを、あえて取り扱っている。
ハインライン『夏への扉』のような古典的なSFの伝統を受け継ぐ、品のよい恋愛小説だ。
恋を忘れた心にときめきを取り戻すような奇跡をどうぞ。
作中、バンホーという名前のぬいぐるみの熊が出てくる。
友人からいただいたもちぐまを目の前にしながら読んだ。
ちなみに、私がもちぐまにつけた名前は、もちみぃという。
フルネームは、「もちい もちみぃ」。いや、それだけ。
« No.6(2) | トップページ | ようこそ女たちの王国へ »
「小説(日本)」カテゴリの記事
- 紅霞後宮物語(12)(2021.02.19)
- 女たちの避難所(2021.02.06)
- 星をつなぐ手:桜風堂ものがたり(2021.01.17)
- フェオファーン聖譚曲(オラトリオ)op.3 鮮紅の階(2020.12.30)
- 神様のお膳:毎日食べたい江戸ごはん(2020.12.15)
「# いつもと違う日常」カテゴリの記事
- 神様のお膳:毎日食べたい江戸ごはん(2020.12.15)
- 願いの桜:千蔵呪物目録2(2020.11.21)
- 満月珈琲店の星詠み(2020.08.03)
- 少女の鏡:千蔵呪物目録1(2020.05.21)
- 少女の鏡:千蔵呪物目録1(2020.05.21)
コメント