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2008.01.29

空中ブランコ

空中ブランコ (文春文庫 お 38-2)  奥田英朗 2008 文春文庫

あの伊良部が荒唐無稽に見えない。
今回、まともに治療的な営みをしているではないか。
診断名には異論を唱えたい点があったとしても、病状形成や治療機序の説明もまともに見える。
そんな風に感じてしまった自分が、ついにおかしくなってしまったのか?

『イン・ザ・プール』読後、続きを買おうかどうしようか迷っていた。
待ち合わせに遅れた人を待つ間に本屋に寄ると、文庫化されていたので購入。
ページをめくって、映画の伊良部医師は外見上のイメージが大きく違っていたなあ、と改めて思う。画面をちらりと見ただけで、きちんと見たりはしなかったのだけど。

「空中ブランコ」「ハリネズミ」「義父のヅラ」「ホットコーナー」「女流作家」の5編。
患者の職業が、オーソドックスな会社員以外のものである、という面では、患者はユニークかもしれないが、主訴や病状は決して荒唐無稽なものではない。
症状に対して強迫性障害という病名が使われることが多かったが、それがふさわしいかどうかは別にしておく。
ただ、全体を通じて、なにか些細なことが気になって気になって気になって仕方がない、という点で共通している。

そして、いずれも、30代。責任ある立場になって相応のふるまいをしなくてはという気持ちが強くなっていたり、有能な後輩の出現にこれまでの自信を失いかかっている。彼らはそろって、自分が中年であることを受容するときに、受容するために、心理的な動揺が引き起こされている。
中年期の危機というとちょっと意味が変わってくるから、中年期突入の危機とでも命名しておこうか。
いずれにせよ、そういった事態には、読者が現実を投影できるアクチュアリティがある。決して、荒唐無稽ではないのである。

困った。まともに見えると、伊良部医師の面白みが半減する。大爆笑できない。
不謹慎な破壊力がダウンしてしまった伊良部なんて……ということ自体が不謹慎だろうか。
伊良部の場合は、存在自体で治療しているようなものだから、そこは現実とごっちゃにされると、多くのお医者さんが困るだろうけど。
それでも、とにかく、なんとかなるんである。伊良部がなんとかしたんだから、まともな医師ならやっぱりなんとかしてくれるんじゃなかろうか。
大笑いをするよりも、なんとなくいい話になっているところが、微妙な気がした二作目だった。

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小説(日本)」カテゴリの記事

コメント

ちは。
あら、なんだかイマイチ感が・・・。
1作目の衝撃が大きすぎたのかなぁ^^;

すずなちゃん、ども。
そーなのよ。1作目の衝撃が大きすぎて。
伊良部医師がまともに見えちゃ、まずい気がします。
憎めないキャラだとか、可愛いかもしれないとか思っちゃ、かなりまずい気がしました。笑

いや、普通に楽しい小説だったんですけどね。

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面白かった!本当に面白かった。一気読み。でも、面白いだけじゃ無くって、最後にはホロリとさせられた。 [続きを読む]

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