2017年9月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

著者名索引

香桑の近況

  • 2017.1.4
    2016年 合計50冊
    2015年 合計32冊
    2014年 合計26冊
    2013年 合計32冊
    2012年 合計54冊
    2011年 合計63冊
    2010年 合計59冊
    2009年 合計71冊

    合計323冊
無料ブログはココログ

« 仔羊の巣 | トップページ | 戦場の精神史:武士道という幻影 »

2007.12.22

動物園の鳥

動物園の鳥 (創元推理文庫) 坂木 司 2004 東京創元社

今度は長編。本屋さんで見て気になっていた表紙。一番、読んでみたかった本だ。
シリーズと知らなかったから、これだけを買おうかと迷ったこともあったけど、『青空の卵』『仔羊の巣』から続けて読むことができてよかった。
もはやミステリではなく、主人公達の成長の物語である。鳥は飛びたてるのか。
ちなみに、1冊目の題がスペイン語、2冊目は英語ときたところ、3冊目はフランス語だった。

200511272 上野動物園は、近年になって2回ほどたずねたが、思いのほか面白かった。環境や展示の方法から、動物園という文化に変化を感じた。
そのときの一番の目的はハシビロコウを見ることだった。京都市動物園のシロフクロウといい、鳥のコーナーに私は張り付くことが多い。
そして、大型猫科! 上野動物園ではライオンの群れの200601152威厳に見とれ、神戸市立王子動物園ではアムールトラの息遣いに驚いた。

子どもの頃から、動物園という場は、楽しいけれど物悲しくなる。罪悪感を掻き立てられる。
だって、檻があるから。
動物園は種の研究と保存の目的を持つことを今はわかっているけれども、それでもなお、保存を企図しなくてはならない状態を作ったのは人間だ。
私もまた人間である。

猫は虐待の対象になりやすい。作中に出てくる嫌がらせは、かなり遠慮をした嫌がらせだ。それでも、読むに忍びない思いに駆られた。
かといって、無闇やたらに野良猫を拾ってはきちんと飼わない人や、飼えないと断る人を責める人も間違っていると思っている。
動物との距離感を程よく保つことが難しい人がいる。人間同士との距離感だって。自分が距離の調整が上手だとは決して思わぬが。

世界はそれなりに優しい。
自分で自分を縛る檻から踏み出てしまえば怖くない。
他者が自分を守る檻から踏み出しても縁は切れない。
そういうメッセージがてんこもりで、そこにはまったく異論はない。
人のもつ優しさを信じていたい。心の美しさに触れるときの感動。

その一歩を踏み出す勇気を出すためには、優しく甘やかすだけでは不十分なことがある。
背中を押す厳しさが必要な時もあり、そういう苦い作業は専門家に任せてもよいのに、と思ったりなんだり。
そう。このシリーズの隠れテーマは、共依存だ。
誰かに必要とされていることを必要とする心性や、見捨てられることへの不安は誰しもあるものかもしれないが、読んでいて違和感を覚えるのだから坂木と鳥井の関係は、本人達が望むとおり普通ではない。
少なくとも坂木が欲しているように特別な関係であり、特異である。それが異常であるとは私は言わないが、日常生活に支障が出ているものを放置する性根がどうしても好きになれなかった。
おそらく、私がこのシリーズを存分に楽しめなかったのは、現実を忘れることができなかったからだろう。
そこにはまた、いくばくかの同族嫌悪、自己嫌悪のようなものも含まれていると思う。
それにしても、食べ物だけは最後まで美味しそうで、夜中に読むのがつらかった!

大人になろうよ。
次の子ども達を守れるように、助けられるように、叱れるように、育てられるように、支えられるように、励ませるように、慰められるように。
いつかあなたが誰かにしてもらったように。

« 仔羊の巣 | トップページ | 戦場の精神史:武士道という幻影 »

小説(日本)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/183237/9510397

この記事へのトラックバック一覧です: 動物園の鳥:

» 動物園の鳥(坂木司) [Bookworm]
終わった。終わってしまった・・・。はぁ。。。 と浸ってますが、なんか本当は終わってないよなぁ~でしたねぇ(笑)続編ありそう。 [続きを読む]

« 仔羊の巣 | トップページ | 戦場の精神史:武士道という幻影 »

Here is something you can do.

  • ボランティア・寄付ならプラン・ジャパン
    子どもとともに途上国の地域開発を進める国際NGO

最近のトラックバック