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2007.11.11

図書館革命

図書館革命  有川浩 2007 メディアワークス

読み始めたら止まらない。
待ち焦がれていた続編。
大好きなシリーズの最終巻。
その上、息を尽きせぬ展開だ。
期待と予想を裏切らない。

行きつけの本屋さんに、発売前日に一冊だけ入荷した本を買わせていただいた。
仕事着のまま、仕事の合間を縫って本屋さんをうろうろしていると、レジの人が一言「入っていますよ」。
名乗りもしないのに顔を憶えられてしまったかと焦ったのも一瞬、取り出された本を見て、きゃーっ♪と歓声をこらえきれなかった。思いっきり、素。店員さんたちに笑われる。

手元にある幸せを噛み締めつつ、再び仕事に戻る。この日は非常な緊張を強いられ、心がぐさぐさにささくれ立った。
残業は残業でも、いつも以上に遅い帰宅。すっかり疲れ果て、家族と話す気力も、夕食を口にする気力もなかった。
だからこそ余計に、翌日も仕事があるとわかっていても、読まずにはいられなかった。緊張を緩め、鬱憤を晴らし、疲労を和らげるために。

同日の夕方、同書を入手したと、友人から一報が入っていた。その後は連絡がつかないから、向こうも読んでいるんだろうなあ。負けたくないというか、一緒に楽しみたい。私も追いつきたい。
そして、読み始めるとまったく予想外の事態が冒頭に起きて、いつものようにぐいぐいっと引き込まれてしまった。
読了は3:30am頃。睡眠不足でふらふらになったって、気持ちがほかほかとほぐれて温まった。翌日の仕事中も、にまにまへらへらと幸せの余韻を噛み締めたぐらいだ。

シリーズの最終巻とあり、これまでの登場人物が軒並み出てくる。
特に、ラブ面では、どの人たちも今までのじれったさからは予想外な進展ぶりだ。
郁ちゃんも成長したんだなぁ……。でも、堂上教官の余裕っぷりたらない。一気読みを一番妨害したのは、堂上だ。
郁と一緒に私もやられるぅと、こっ恥ずかしくなって、目が止まる。手が止まる。目が泳ぐ。思わず、本から顔をあげて、ふーっと息を吐き出してみたり。PCをつけてみたり。
もしかしたら郁以上にじたばたじたばたともだえてしまった。頭を“ぽん”も健在で嬉しい。

一番の男前は、柴崎かっ!?と随所で思う。がんばれ手塚。負けるな手塚。てゆーか、最初から負けているからそのまま生き延びろ。にーちゃんに盗られるなよ?とか、いろんな心配もしてみた。
なまはげ玄田隊長の無事も嬉しい。床屋さんたちの裁判の行方も出てくる。平賀さんも忘れられていなくてよかった。彦江さんは査問会が立て続けで大変だろうなあ。
未来企画については、これがこう片付いていくとは。4冊でちゃんと話が結ばれるのか、案じていたのは素人考えだったと感じる。詰め将棋がうまいのは作者だ。
メディア良化委員会も図書隊も、きっとこのままではいられない。
この二人もあの二人も、その他の人も、それぞれのその後まで。
決してあきらめずに最後まで走りぬけ。まあ、疾駆というより、暴走って感じだけどさ。

目を疑ったのは使用を控えられることが増えた言葉が羅列されていたところだ。その言葉を用いないことには、この問題の本質を伝えることは難しい。作者は、作家という職業にふさわしい鋭い感性で、表現の自由を謳う。
たとえば、片手落ち。この言葉を使わずに、この言葉に与えられている意味を表現するときに困ることがある。説明が冗長になってしまうからだ。そのとき、ここに、差別の意識は私にはない。
それなのに、なぜ、言葉を封じられなくてはならないのだろうか。

目が見えないことや耳が聞こえないこと、精神疾患を患うこと、背が低いことのような外見上の特徴があること、特定の地域や血筋の出身であること……。なにかしらの現象を表すことと、そこに価値判断を付け加えることは、まったく別次元のことである。
言葉には、たやすく価値判断が付け加えられることがある。それが誉め言葉ならいい。だが、揶揄や中傷、非難や侮蔑の意味が付加されることも、往々にしてある。
けれども、だからといって、言葉を狩ることは問題の解決にはならない。問題とは、言葉を用いることではなく、差別することではないのか。人を傷つけることではないのか。自由を奪い、正義を曲げることではないのか。

これを書きながら、思い出したことがある。
同じ日にこの本を読んだ友人と、初めて議論したのも、こういう話題だった。真摯な意見の書かれたあのときのメールが、知人から友人に変わったきっかけだった気がする。ある人の一言をめぐる議論だったよね?
私の基本の考えは変わらない。表現をいくら言い換えても、言いつくろっても、そこに誰かを見下し、傷つける意思があることが問題である。

その本質を見失い、正義のような顔をして、表面的な対応をし、横から利権をむさぼるのは誰だ。
言葉の暴力から誰かを守るような振りをして、自由を奪うのは誰だ。
表現の自由という、読書に興味がない人にも一緒に考えてもらいたいテーマを、作者はシリーズを一貫して堂々と描いている。
メディアにおける自粛が過剰になるとどうなるのか。報道が傲慢で過剰になるとどうなるのか。よく考えられた上に紡がれる言葉は、きっと暴力的にはならないと思う。そう願っている。

ひとまずの区切り、らしい。ということは、今後もあるのか? あってくれ。
スピンアウトも歓迎だし……と思ったら、既にスピンアウトは書かれたらしい。マンガ化も2パターンあるし、アニメ化の予定まであるというから、ほかにも機会があるのだろうか。
主人公を変えて、土地や時代を変えてもいいから、第二部、第三部が出ないかなぁ、なんて、願望も持つ。
その前に、この本を読み返して、読み返して、『図書館戦争』から続けて一気読みするつもりだ。
私が読者として好きな本を読める自由を楽しんだように、作者にも好きに本を書ける自由があるといいな。

この世界に本を焼くことのない平和を祈る。

 ***

  別冊 図書館戦争Ⅱ
  別冊 図書館戦争Ⅰ
  図書館危機
  図書館内乱
  図書館戦争

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小説(日本)」カテゴリの記事

コメント

ほぉぅ。あいかわらずなレビューにため息をついちゃいましたよ。うんうん。そうそう。と、いつにも増して頷きながら読ませてもらいました。
「片手落ち」を本書で読んだ時に、数年前の某国営放送の大河ドラマを思い出した。「片手落ち」を使えなくて「片落ち」という言葉を創りだし使っていた。当然、違和感を憶えないはずがなく、「何それ」と思ったんだったなぁ・・・。
そして、懐かしいことを思い出させてくれましたねぇ。あ~そうだったねぇ。私にとってもキッカケだったような気がするよ。

ますますこのシリーズの新エピソードが読みたくなりました。
これからも、私を取り巻く世界が、好きな本が読める自由を楽しめる世界でありつづけますように・・・

気づいたら、だらだらと長くなってしまいました。よっぱーで書いた文章だったので、少し手直ししました。
あの一言をどうとらえるか。あのときの割り切れないもやもやと、この本が、すずなちゃんのイメージを通じて、するするっと繋がって思い出されたんだ。
すずなちゃん、ありがとう。図書館シリーズは、すずなちゃんと読書の話で盛り上がれるようになったきっかけであり、このブログを作ったきっかけ。多分、この先も長く大好きな本であり続けると思います。

TBありがとうございます。
こちらからもお返ししますね。

>疾駆というより、暴走って感じだけどさ。

読む方も、そんな感じで突っ走りました。(^^ゞ
なかなか止まらない。
結局、感想を書こうと読み返したら、2周目読了となりました。
なんとも、はや・・・・(^_^;)

白い怪鳥さん、TB&コメントありがとうございます。
読むほうもスパートかけまくりになりましたね。
感想を書こうとしたら、同じく2周目突入になりました。
名場面の連続で、とても言及しきれないくらい。
スピンアウトが掲載される雑誌も本屋さんで予約してきてしまいました。

素晴らしいレビューを読ませていただきました。
ありがとうございます。
なんかもう、私が言いたかったことを全て言い尽くして貰った感があります。
私の文章など、レビューではなく只の感想だわ(しかもまとまりがない)と自己嫌悪です…。
スピンアウト、楽しみですね。

秋村さん、TBと過分なお褒めの言葉をありがとうございます。そんな風に言っていただけると、嬉しいやらお恥ずかしいやら。調子に乗ってしまいそうです。
『図書館戦争』シリーズは楽しいだけではなく、いろんなことを考えさせてくれました。それが、日ごろの自分がぼんやりと思うことと重なり、とても魅力的です。
しかも、いろんな人との縁をもたらしてくれた。有川さんに感謝する毎日です。

こんばんは!
読み出したら止まらず、一気読みでした。
大満足でした。
楽しめるだけじゃなく、いろんなことについて考えるきっかけを与えてくれたこのシリーズ。
素晴らしい作品を書き上げてくださった有川さんに、心から感謝ですね。
漫画の連載も楽しんでますが、アニメ化&スピンオフ作品と嬉しい情報が続きますね。
楽しみです♪

香桑さん
こんばんは~♪いやいや終わっちゃいましたね★
それにしても香桑さんの文章って・・・書評。うーむ。書評とはこう書くのか・・・的おどろき。。。あちきのはワーとかキャーとか、読書感想だなぁなんて思っちゃいました。(中学生の。ボソ)
それにしてもいきつけ本屋さんの店員に耳打ちされる仲とはなんともうらやましいです!(そこか?)

うわー。続々とありがとうございますぅ。

>エビノートさん
そうなんですよ! 一気読みなんです! 一気に二度読み、三度読みなんです。
一場面ごとにあーだこーだきゃーっと叫びたくなりました。こんな興奮をくれる本(シリーズ)と出会うのは、本当に久しぶりのことでした。
今後の展開も楽しみですね。

>やぎっちょさん
あわわ。やぎっちょさんまで……。書評っぽくなっていると嬉しいです。そう言っていただけると光栄です。
本屋さんとのやり取りにはその後談がありまして、本屋さんのレジで感想でもりあがり、業務妨害を果たしてしまったのでございました。(^^;
そこの本屋さんではアヤシイ本はもう買えません……。

こんばんは。
魅力的な登場人物達の突っ走りぶりにつられて一気に読みました。
今まで頑なに認めなかった堂上の変化に驚きました。
ページをめくる度に顔を赤らめて、変な奇声を放ってしまいました。
シリーズものゆえに、キャラ達の成長の度合いがはっきりわかり、
感慨深かったです。
スピンオフ作品、とっても楽しみです。

藍色さん、こんばんは。
読むときは、部屋にこもっていてよかったです。読んでいる姿を家族には見せることができません。もう、アヤシイ人でした。
カミツレデートの堂上教官、余裕たっぷりで可愛くないですよぉ。多分、そのツケが、本屋さんでのアレだったんだと思うことにします。
いくらでも語れますね。楽しいシリーズでした。大満足です。

香桑さん、こんばんは(^^)。
『図書館革命』を読み終え、身悶えしつつ四苦八苦しながら駄文を書きあげ、TBさせて頂こうと、息急き切ってやって参りました。
そして、愕然・・・。駄目だ・・・あんな低レベルな文章では、お目汚しにしかならん・・・。
香桑さんの素晴らしい文章に、感激しました。
「ああ、こういうこと私も言いたかった!」「こんな考え方もあるのか!」など、本当にいろいろと書き上げて下さっていて。
とにかく、非常にいろんなものを内包している作品でしたね。
やはり、有川さんは、すごい。これからも、どんどん作品を発表していっていただきたいです。そのたびに、萌え叫び続けたいです(笑)。

駄文ではありますが、TBさせ頂ければ光栄です。よろしくお願いします。

水無月・Rさん、こんばんは。TBありがとうございます! こちらからも早速お送りいたしました。
誉めてくださってありがとうございます。なんだか、もう、こちらこそ感激です。そんな風に言ってくださって。
でも、読んでいるときには、きゃーっ♪ うわっ! うがーっ!!みたいな、大騒ぎだったんですよ。

有川さんの本は楽しいです。大好き。スピーディで、元気で、楽しくて、どんなにつらいことがあっても最後は必ずハッピーで、読んでよかったと思える。その上、じれったいラブに笑いの絶妙なバランス。
次の作品にも必ず食いつきます!

TBありがとうございました。
このレビューを読んで、香桑さんのこのシリーズに対する愛着が、ひしひしと伝わってきました。
ほんとうに楽しい作品でしたね。

花さん、こんばんは。ありがとうございます!
このシリーズは、すっかり宝物です♪
こうしていろんな人と出会えた、きっかけのシリーズですもの。

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