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2007.11.04

伝説の森(上・下)

伝説の森 上 (1) (創元推理文庫 F ラ 3-10 ヴァルデマールの風 第 3部) 伝説の森 下 (3) (創元推理文庫 F ラ 3-11 ヴァルデマールの風 第 3部)  マーセデス・ラッキー 山口緑(訳) 2007 創元推理文庫

こんな読書をできた、今日はとても幸せ。
今なお私が読み続けている唯一の異世界ファンタジーだ。

エルスペスと〈暗き風〉、スキッフとナイアラ、鷲獅子たち、〈炎の歌〉や〈共に歩むもの〉らと、〈隼殺し〉モーンライズとの戦いの最終章だ。ついに、ハードーンのアンカー王も登場する。大勢の人物が入れ替わり立ち代りする上、伝説の森で伝説の人物まで登場する。
三部作の最終巻となると登場人物も増えて、全巻までの物語を思い出すまで固有名詞に戸惑った。以前のようにシン=エイ=インの用語リストが欲しくなる。
物語の紡ぎ手にして歴史の記録者であるキリーのリースのように、タルマやケスリー、ケロウィンの名前を見ると、懐かしくて嬉しくて、読み手のテンションもあがった。

幾つかのカップルの行く末も気になるが、ヴァルデマールとハードーンとの対決が目前に迫る。物語は、これら二つの国を交互に舞台にしながら進んでいく。
エルスペスは〈暗き風〉らを伴って、「谷」から故郷ヴァルデマールへと帰る。そこから、敵の本拠地であるハードーンへと乗り込むことになる。
カースやイフテル、レスウェラン、東の大国の名前も出てくるが、その中で、国とは何か、エルスペスは考えさせられる。

ラッキーは、主人公らの個々人の戦闘だけではなく、軍を用いた戦略まで描ける稀有な作家だ。それは、ケロウィンの物語『運命の剣』で顕著だった。
ファンタジーの世界で戦争を描きながら、政治家がするべきことをしなかったとき、消耗した人々や疲弊した土地、暴力や略奪、戦場の血なまぐささを書くことをためらわない。
夢物語であっても綺麗事で終わらせないところが、本作の魅力であり、著者の良心であるように思う。
前作より甘さが減った分、ラッキーらしい持ち味が活かされているように感じた。

今回は、アンカーやヴァルデマールの人々という魔法に詳しくない人々を物語の中に布置したことで、魔法の仕組みについてもずいぶんと詳しく説明することを可能にしている。
心理魔法のところを読むと、著者は心理療法に精通しているように思われる。少なくとも、どうやって行われるのか、仕組みを理解している人のように感じられる。
人物設計だけではなく、世界の設定が詳細でしっかりしているところが、このシリーズに飽きることなく惹きつけられる理由の一つだろう。
翻訳も品があって読みやすい点も、大事なところだ。

この巻で三部作は調和のうちに終わるけれども、新たな物語の前兆が残される。
次が、また楽しみだ。気長に次作を待ちたい。

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