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2007.10.16

有頂天家族

有頂天家族 森見登美彦 2007 幻冬社

この京都には、人間と天狗と狸が住んでいる。
もふもふの毛玉や、ふはふはの毛玉のような、柔らかな毛玉好きにお勧めの、狸が主人公の小説だ。
時には女子高生に化けたり、叡山電車に化けたりしながら、出町柳やら先斗町やら、ところ狭しとばかりに駆け巡る。

いつも通りに森見さんの仮想京都は、不思議がいっぱい。
六角堂と同じ境内の要石をなでて、六道珍皇寺の井戸を覗きに行ってこなくては。
思い出の中の京都をたどりながら、行ったことのない景色を主人公と一緒に走り回ることが楽しかった。
ちなみに、大阪の道具筋は、現実でも、いらない小道具やわけのわからない看板を買わせる魔力に満ちている。あそこは間違いなく魔境である。

馴染みの店員さんが、急いで入荷してくれた貴重な一冊。
雑誌に掲載されていたものを集めて加筆したとあり、前半は設定の説明の繰り返しが多く感じたが、中盤からは先が気になって気になって、ぐぐっとのめりこんで読んだ。
子狸から長老狸まで個性的で阿呆が身上の狸たちの心意気に、ジブリの『平成狸合戦ぽんぽこ』を思い出したりもした。狸のヴィジュアルはそんな感じで読む。

主人公とその兄弟達、母親と亡き父親と、家族の姿が愛情深く、心温まる。阿呆の血のしからしむるままに、目の前の些事にうごうごする狸たちの姿は、そのまま読み手と重なる。
この世界を動かすような権力とは無関係だし、弱肉強食のような生命の危機とも無関係だけで、当たり前の日常生活を飽きずに繰り返し送るものたち。
一切の高望みを捨てよ。それなりに毎日を生き延びて、それなりに楽しんで生きていられるのだもの。
こういう言葉を紡ぐことができる作者の感覚が好きだなあ。最後の2ページがとても好き。

一方、天狗も出てくる話だから、てっきり下鴨神社の祭神が顕れるかと思いきや、今度のメインは別の方。
如意ヶ岳薬師坊様は、修験行者の唱える天狗経の中に名前があるとのこと。室町時代の後期には成立していたとか。赤玉先生、本当に本当はすごい天狗だったのかもしれない。
風神雷神の図は俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一と見比べると、抱一が一番メジャーかもしれないが、迫力で宗達を推しておきたい。

これまでの森見作品と関わりがあるのは、詭弁論部と偽電気ブランぐらいか。
登場人物では、偽電気ブランを片手に狸鍋を囲む一人は、李白さんじゃなかろうか? しかも不気味なほうの。どうやら李白さんは乙女にだけ弱い御仁らしい。
とはいえ、今度の乙女である弁天様は、これまでの森見さんのヒロインとは一線を画して色気も危険な匂いも芬々。素顔がとても可愛いのだけれど。
もう一人のヒロインの海星ちゃんも、謎をいっぱい残している。

第二部胎動で、個性的な狸と人と天狗の活躍はいかに?
特に熱烈なつもりはないけれども、ファンというのは自分が好きだからこそファンになるのであって、作者にどーにかされても困るし、続きを楽しみに待ちたいと思った。

 ***

TBのかわりに……

水無月・Rさんのブログ 蒼のほとりで書に溺れ。 『有頂天家族』/森見登美彦 ○

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小説(日本)」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。
イラストがざらざらな感じだったので、ヴィジュアルが上手く思い浮かびませんでした。
次回はジブリの『平成狸合戦ぽんぽこ』を(笑)。
詭弁論部と偽電気ブラン、うれしかったです。
李白さん、いたかもですね。
第二部もとても楽しみです。

藍色さん、こんばんは! 基本、イラストがあろうとなかろうと、私の頭は好き勝手に映像化してしまう癖があるようです。次回はぽんぽこで是非。
弁天様はジブリのキャラじゃないんですよねー。頭の中では、ボブカットの少女の斜め後ろからのカットと、ふりかえってこちらを向くと高々と天狗笑いをする成人女性のイメージがあるのですが……どこで見たイメージなのやら……うーん。
アイス(高利貸し)の寿老人が李白さんだと思いました。

どもども。
最初はう~~~むぅぅ;;;と思いつつ読んでたんだけど、どんどん面白くなってのめり込むように読んでしまいました。あまねちゃんの記事を読んで、あ~それそれ、説明が多かったんだ!と納得。
続編がいつ出るのかな?と楽しみに思うくらい面白かった。

すずなちゃん、TB&コメント、ありがとう。
父親を狸鍋!?ってところで、微妙な気分で読み始めたのだけど、悲壮にならないんですよね。
琴平に行った時、「天狗」や「狸」の名のついた食堂やお土産にうほうはしていたのは、この本のためだったのです。
天狗の腰掛けていたという大木を見てしまうと、赤玉先生…?と思い浮かんでしまうじゃないですか。

香桑さん
こんばんは♪
うむむ。京都界隈というカテゴリ。。。見逃してた!いくつか記事読みましたが、そういや、ついこないだはじめてイノダ本店と(三条店は行ったことありました)六曜社にはじめて行きました。
あちきも昔は2年くらい京都に住んでました。何かいいですよね♪その後住んだところの風潮にいろいろと染まったり、自分のアイデンティティが変化したりで、今はもう京都には住めないような気がするけど、やっぱ京都が好きです★

香桑さん、はじめまして。TB貼らせていただきました。
森見登美彦さんの本を読むのは、初めてだったんですが、キャラが立ちまくりですね!
続編なんか、いくらでも書けそうな気がします。
しかも、第2部には、赤玉先生の子息が出るとか・・・
ホントに今から続編が楽しみでなりません。

>やぎっちょさん
こんばんは。独自のカテゴライズというと大仰ですが、私なりに「これを読んだらこっちも読んで」とグルーピングの試みを楽しんでいます。ですから、カテゴリーごとのページに気づいてくださって嬉しいです。
今の京都は思い出の京都と異なりますし、また住みたいとは思わないけれど、好きなんですよねえ。森見&万城目を読み始めて、余計に憧憬がつのるようになった気がします。

>たちばなますみさん
コメントありがとうございます。残念ながらTBが届いておりません。もう一度、挑戦していただけないでしょうか。お手数をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします。

今度はTBうまく行ったみたいです。
未熟者で申し訳ありません。
今後ともよろしくお願いします。

>たちばなますみさん
TBの件、お手数をおかけしました。
今度は無事に届きました。ありがとうございます。
今後もどうぞよろしくお願いいたします。

香桑さん、こんばんは(^^)。
狸も天狗も人間も、いろいろあるから、愛おしいなぁ・・・。
毛深き家族愛、しんみりするシーンもありつつ、楽しく読みました!
矢四郎君が可愛い!海星ちゃんの罵りっぷりが痛快!とわくわく。
第2部も楽しみですね。

水無月・Rさん、こんばんは。
TBがいただいたのかもしれませんが、届いていませんので、本文にリンクを張らせていただきました。
今後の海星ちゃんが楽しみです。きっと美人さんに違いないのです。
後半になるほど面白くって、続きが気になる一冊ですね。

読み始める前はたぬきをこんなに愛しく思うなんて想像もしてませんでした~。
基本、阿呆だけれども(笑)。
なんて素敵な兄弟愛、家族愛を持ってるんでしょう!
これまでの作品との繋がりもニヤリとするものばかりでしたね。
ああ、憧れの偽電気ブラン♪
矢四郎くんに横流しして欲しいです(^_^;)

エビノートさん、こんばんは。
森見さんの創造の泉に、たぷたぷと偽電気ブランと赤玉ポートワインと日田の天領水を注いで差し上げたい気分でいっぱいです。
このままでは続きが……。

先日、もりみーファンの友人が「へそ石餅」というお菓子を送ってくれました。
こちらなら京都で実際に手に入るそうです。食べてみても、ふはふは尻尾は出てきませんでした。(^^;

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