笑う大天使
川原泉『笑う大天使』ほど、好きなマンガはない。
何度も何度も読み込んで、すっかり日にやけたコミックスを、大事に取っている。
女子校で過ごした生活を振り返るに、一番、しっくりくるのがこの世界だ。
吉田秋生『櫻の園』でもなく、三浦しをん『秘密の花園』でもない。
庶民の中の庶民、毛色の違った子羊は、お嬢様たちの中で、餌のいらない猫の飼い方を憶えた。
その映画化。
……うーん。やっぱり、難しいやね。
ハウステンボスでロケをしたのもよかったと思うし、ダミアンの声が太一郎さんというキャスティングも素晴らしい。
一臣さんは最初はイメージが違うかと思ったが、見慣れると、低めの声が魅力的でなかなかよい。
俊介さんも出番は少ないが、かっこいいじゃないか。孝にーちゃんもイメージに近い。
ロレンス先生は、もうちょっとブロンドのほうがよかったな。絵に近いキラキラの金髪か、イギリス人らしいアッシュブロンドも好みだけど。
1コマだけルドルフ氏も出てきたし、財務省をバックにとびかう御札にはカーラ氏のイラストが。ダミアンもよく動いていたし、猫かぶりの猫も可愛らしかった。麦チョコだって。黒いフェラーリは出てこなかったけど。
問題は、お嬢様がお嬢様らしくなかったこと。言葉遣いもさることながら、所作や表情が美しくない。制服や衣装が品がない。お嬢様が板についていないのである。やれやれ。
モブになると、毛色の違う子羊が浮いて見えない。チキンラーメンだけではインパクトが薄すぎるのよー。
ケンシロウ様オスカル様コロポックル様が出てきたときは嬉しかった。鉄腕アトムと超人ロックとウルトラマンはさすがに出てこなかった。ましてや、梵天丸や南斗水鳥拳やフランスの女王やらは。これは仕方あるまい。
作業服を着た労務者風の3人の女子高生によるアクション映画という、萌えをねらったんだか外したんだかわからない辺りに、力が入ってしまったようだ。
これはこれで、面白いんかいな?
殿下と史緒さんのストーリーはほろりとさせられたけどね。
川原作品に着目した点だけは評価する。(偉そう)
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