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2007.09.18

猫だましい

猫だましい (新潮文庫)  河合隼雄 2002 新潮文庫

猫に嫉妬したことがある。
気難しいと言われる猫を愛撫する男性の長い指先に見惚れた。こまやかで丁寧な仕草にうっとりと見蕩れた。とてもセクシーだった。
その膝に甘え、その指に撫でられるのが、なぜ、私でないのか。
猫好きの私としては、非常に珍しいことだった。猫を撫でる人が他の人だったとしたら、猫をとろりと手懐けた手腕を羨んでいたことだろうに。
そのとき、私は猫に嫉妬した。
「とろかし猫」の章を読んで、そんな体験を思い出した。

猫好きであるから、猫の本をよく読むかといえば、そうではない。どちらかといえば、用心深く避けることのほうが多い。
いかに自分の猫が素晴らしいか、比べ合わぬように。いかに自分が猫を理解しているか、競い合わぬように。猫好きは自分も含めて猫自慢をしがちである。
その上、猫を扱う本が常に猫に愛情をもって描かれているとは限らない。この本は、猫自慢にならないように自制を効かせたところで書かれている。

宮沢賢治の描く猫も、萩原朔太郎『猫町』の猫も、どことなく不気味で超越的であったり、うろんで姑息で残酷であったりする。
そういった猫に対する多様なイメージを、猫マンダラで整理するところが、ユング派の著者ならではの視点であろう。
人間の「たましいはそれ自体を取り出すことはできない」(p.15)が、「猫を主人公とする作品を基にして、猫を通して人間のたましいについて語りたい」(p.24)。それが本書のコンセプトである。

『長靴を履いた猫』や『100万回生きた猫』『注文の多い料理店』『綿の国星』など、既知の本も多い。ちなみに巻末には大島弓子のマンガがついている。
読んでみたくなった本もあった。ポール・ギャリコ『トマシーナ』やル=グウィン『空飛び猫』(家のどこかにあったはず…)など。
鍋島猫騒動は知っていたが、久留米猫騒動(有馬家)は初耳。調べてみたら、阿波の猫騒動で、三大となるそう。

化猫の怪談で、主人の身を守ろうとして化猫となり大鼠か何かと戦うが、かえって妖怪として主人に成敗されたという話を、子どもの頃に読んだ気がする。夜が明けて主人は愛猫の忠義を知って嘆き悔やむが、あまりに猫が気の毒だった。
私の記憶が勝手に作り変えているかもしれないが、猫の報恩譚に、是非ともこれを加えてもらいたかった。
私が猫に投影するものは、愛情深く、忠誠心があり、甘え上手で、秘密があるように見せかけて実はなーんも考えていないような、根に持つことはなくて健気で気立てのよい、その瞬間を生きることが上手なひと達。
うちの子たちも、尻尾がいくつに増えてもいいから、長生きしてくれないかなあ。

河合氏に敬意と弔意を表して。
その後、トラはかなり強くなりましたよ。

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コメント

河合隼雄さん、いろいろ読みたい本の候補があるんですけど、これも加えたくなりました。

わたしの場合は、バカめw と思いながら一緒にデヘデヘ笑っていられるような親バカさんたちの自慢なら大丈夫なんですけど、動物(特に犬猫)の絡んだリアルに哀しい話が全面的にダメで、用心深く避けてます。胃が痛くなってきて・・ どんだけ弱いねん;;

尻尾がいくつに増えてもって。ふふふ。わかります。その気持ち♪

susuさん、こんばんは。
避けたくなりますよね。動物を虐待するシーンがあるのは論外ですが、『100万回生きた猫』とか『ごんぎつね』とか「泣かせる話」もダメです。狙われたとおりに、泣きます。トラウマになります。

我が家の猫たちには毎晩のように「長生きするんだよー」と言い聞かせています。

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