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2007.09.07

サウス・バウンド

サウス・バウンド 奥田英朗 2005 角川書店

こんな父親、嫌だーーーーっ。
ぐうたらで、わがままで、乱暴者で、家族の心情にも家計の窮乏にも無頓着で、周囲と問題ばかり起こす。
力いっぱい苦手に思っていたのに、この父親、途中からどんどん格好良くなる。
都市が似合わぬ人がいる。野性の中でこそ輝く自恃の人。困ったことに、力強く身体を用いて働く男は格好いいのだ。
井戸水をくみ上げて運ぶ姿が、鍬を持って立つ姿が、Tシャツの下で実用的な筋肉が躍動しているところが、美しい。
その上、聞きほれるような響きのよい大声で名乗りをあげ、角材一本でひるまずに戦うことができるとくれば、ファンも増えよう。
(イメージ映像は、チョン・ウソンの後姿。沖縄顔じゃないから、後姿の背中から肩、二の腕にかけて。)

東京の中野に生まれ育った小学六年生の主人公の二郎。その父親・一郎が元過激派で、母親さくらも実は…。
だんだんと家族の背景を知って戸惑ったり、自分の拠って立つ足場や背負う歴史を請い求める年頃だ。
世の中の不条理がせまってくる中、ふっと目の前に湧いて出た希望。しかし、「裕福な家庭に引き取られてめでたしめでたし」といった、昔のイギリスの少女小説のような生暖かいハッピー・エンドを許さないのが一郎である。
裕福なだけでは解決にならない。こけおどしの幸福もどきは、楽園ではないのだ。

『逃亡くそたわけ』に続き、南へと舵を取る小説が続いた。今度は、楽園を目指して。これまたダイナミックで、力強い物語だ。
第一部は都市を舞台にしており、子どもを取り巻く環境を憂えさせる分、二郎もそれなりに活躍していた。子どもの世界では大人は役に立たない。
二郎の両親は型破りだけれども、自分の家族を恥ずかしく感じたり、逆に、誇らしく感じる瞬間には、誰でも共感できると思う。
西表に舞台を移す第二部では、父親の前に子どもが目立つすきがない。二郎もがんばっているのであるが、それを上回る大人の世界では子どもは役に立たない。
子どもに子どもの世界を用意すること。子どもらしく生活できるように。しかし、いずれ大人になるように。

……自分の父親より、隣家の父親だったら、もっと嫌かも。
一郎とさくらが人として間違ったことをしていないとしても、世間にあわさないことを世間は迷惑に思うし、私も世間の常識に染まった判断をするだろう。
それでも、心の中には楽園を求めていたいと思う。自由な生活はひよわな心と体じゃついていけそうにないけれど、最後の楽園は最後の楽しみに大事に心に描いておこう。
読後、酔うような興奮が残った。とにかく面白いので、ぜひ。

 ***

革命は運動では起きない。個人が心の中で起こすものだ。
集団は所詮、集団だ。ブルジョアジーもプロレタリアートも、集団になれば同じだ。権力を欲しがり、それを守ろうとする。(
p.249)

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コメント

こんな父親はいやだ~
私もそう思いました(^_^;)
でも、読み進むとだんだん憎めなくなってくるんですよね~。

エビノートさん、そうです。そうなんです。憎めなくなっちゃって。
あんなにかっこよくなっちゃうのは卑怯ですぅ。

面白かったっ!!途中で止められなくなって、一気に読んじゃったよ。あぁ・・・「医龍」を(確信犯で)見損ねた^^;

こんなお父さんは私も嫌だわ。お隣さんなら、もっと嫌(笑)でも、だんだんとかっこよくなっていくんだよねぇ。最後はファンになってしまってました。

一気読みのお・仲・間♪♪♪
これは、読後に誰かと語り合いたい衝動に突き動かされました。
だから、すずなちゃんが読んでくれて嬉しいです。
最後のかっこよさ、反則ですよ、まったく。

TBが届きました。お手数をかけました。ありがとう!

こんな親父は、私もイヤだ~。
西表での一郎さんはなかなか凄かったしカッコ良かったけど、でも自分の親だったらやっぱりイヤだな・・・。隣の親父なら、もっとイヤだし。
ええ、小市民と呼んで下さい・・・(笑)。

ふふふ。常識人ということです。笑
主人公の二郎にはかわいそうなのですが、主役は一郎さんなんですよね。
『図書館革命』の良心の押し付けというテーマは、『サウス・バウンド』第二部の環境保護団体のエピソードと重なりあっていると感じます。

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