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2007.08.27

戦争の記憶をさかのぼる

戦争の記憶をさかのぼる (ちくま新書(552)) 坪井秀人 2005 ちくま新書

8月だから、こういう本も読んでおこうと思った。
私は戦争は嫌いだ。なべて反対である。かといって何をするわけではない。
自衛について自分のことを自分で片付けずに人任せにすることをやましく思うが、第9条を大事に思う。教育基本法が書き換えられたことを、残念に思っている。

戦後責任については、戦後生まれの人間が戦後生まれの人間に対して、いつまでぐちぐち言うつもりだ?と思うことも多い。被害者/加害者を分けず当事者は、その当時に生きていた人すべてに限定してもらいたい気がする。
加藤典洋、吉本隆明、小林よしのりなど、90年代の議論が紹介されているが、どれもしっくり来ない。

私のために。
私は偽善者である。利己的であることを否まない。
利他的、奉仕的、献身的を善であれと、短絡に振りかざすことを警戒する。それは他者に奉仕を要求する利己主義者ではないのか。用心が必要である。
同時に、視野狭窄な行動も嫌う。まわりまわって、自分の首をしめはしないか。はるか遠く、はるか先を見据えて、天に唾することにならないように用心した上で、己のためを考える利己主義者でありたい。

私は私が幸せでいるために、私の大事な人に幸せでいてもらいたいと願う。その大事な人の幸せのためには、私の大事な人が大事に思う人にも幸せでいてもらわねばならぬ。
私のために、私は他者の幸福を願い、平和を祈り、環境を守り、健康を恃む。そういう回路において、私はとことん利己的な偽善者であろうと思う。
『そんなことを、知らないよ』という声は、自滅を否認したその場しのぎの営為に過ぎない。私利私欲としては中途半端なものであって、私は巻き込まれたくない。

一つの悲しみを演出するために、たくさんの死を作る。
ショウを作り出す、メディアへの、政治への批判として読むこともできるなあ、と思った。
他者への関心の希薄化。人間の情報処理能力や許容量は限られるのであるから、情報が多量になれば、一つ一つに裂かれるエネルギーは反比例する。
コンパッションの低下は私の世代ですでに顕著だ。ネットの情報とリアルの情報の区別をせずに対象を理解した気分になるのは、リテラシーが向上したのか低下したのか。

10年ごとに終戦記念日の新聞報道をさかのぼり、振り返り、見比べていく。その過程で、戦争を語る世代交代が、記事の主語と述語から読みとられる。
人は年老いるものであるから、世代交代は当たり前のことである。そう観念として考えることと、それによる語りの変遷を追うことは、説得力が異なる。
時代の文脈を超えて生きる言葉もあれば、文脈を抜きにしては読みとりにくい言葉もある。当たり前ではあるが、忘れられがちのことがなんと多いことだろう。

いわゆる終戦の日から60年以上が経った。
戦争は、今もどこかで行われている。
内乱、紛争、戦闘、テロ。表現は異なるかもしれないが、誰かが誰かを、正義と自衛の名の下に殺している。殺されている。
戦争を知らないと言い切るのも、見ようによっては、自らの鈍感さを露呈しているだけなのかもしれない。
殺しあう苛烈さに思いを馳せることは、正直なところ、難しい。しかし、大事な人を失う悲しみ、自らが死ぬかもしれない恐怖であれば、私は思うことができる。
そこが、おそらく、私の倫理の拠って立つ足がかりの一つである。

デリダ『死を与える』が、この本で感じたことを深めてくれるだろう。
睡魔に負けずに読みおおせたとしたら、であるが。

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