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2007.08.10

しゃべれどもしゃべれども

しゃべれどもしゃべれども 佐藤多佳子 2000 新潮文庫

落語のことはよく知らない。
ときどき、笑点を見て笑ってみることもあるけれど、名人の名前も古典の粗筋も知りやしない。
映画ではなく、勝田文のマンガ(しゃべれどもしゃべれども (ジェッツコミックス) )を先に知り、こんな話は好きだと思って原作を手に取った。
だから、主人公三つ葉も、黒猫十河も、村林も湯河原も良も、私の頭の中ではマンガの絵柄で動いていた。
それがこう、しっくりくるんである。

気持ちだけじゃだめなの。以心伝心じゃだめな時があるの。言葉が必要なの。どうしても言わなければいけない言葉というのがあるの。でも、言えないのよ!(p.241)

こんな悲鳴を、心の中であげている人や握りこぶしの中に隠している人は多いだろう。
言いたいことを言えなかったり。余計なことまで言い過ぎてしまったり。
相手によって、主題によって、場面によって、できたり、できなかったりもするだろう。
言わなくちゃと、言わなくちゃ伝わらないんだから、わかってもらえないんだからと、手変え品変え言葉を重ねてみたけれども徒労に終わったことさえある。
うまく通い合えないつらさを知っている人に、この物語はそっと寄り添う。

小説は、言葉にできないもどかしさを言葉にしてある。登場人物たちのつらさがびしびし伝わってくるようだ。
また、小説は、言葉になりにくいぼんやりとしたものを言葉にしている。雰囲気であったり、心情であったり、表情であったり、匂いであったり。
長い小説なのに、一気に読ませる吸引力があるのは、作者の上手だろう。江戸言葉の切れ味と、噺めいた表現を織り交ぜ、言葉を用いる面白みを示す。
落語を聞いてみたいと思った。そうしたら、ちょうど、落語のチラシを手に入れた。行ってみるのも面白そうだ。(そして、実際に行って来ることができた。茶の湯を生で聞けたのが嬉しかったのです)

文中、「おおっ!」と声をあげたくなったのは、湯上谷と村松の名前である。
ホークスの試合中継が予備のカード扱いなのは、舞台が東京だから仕方がないか。
そう思って、念のために単行本の発刊年を確かめると、1997年。ダイエー・ホークスが優勝する以前だ。
……となると、人気のない中継の例にあげられても仕方がないかも……よく見りゃ「福岡ドーム」だし……違和感は感じないけど…今は名前が変わっちゃったけど…球団名も変わったものね。
好きな選手の名前が出てきて、言いなれた球場名が出てきて嬉しかったという、本題にはまったく関係のない感想。

自信なんて、ないことばかり。
弱音を吐きたくなったときは、次の三つ葉の言葉を思い出したい。
ないものは作れ。

 ***

本職は甘ったれたことを言っちゃいられない。自信がないなどと泣いていられない。ないものは、作るしかない。作るには、とりあえず努力するしかない。(p.183)

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コメント

香桑さんこんばんは~。
TBうまく飛ばなかったようですので直リンク貼りました。
あっちきは笑点すら見ないんですよねーー。むむ。やっぱ落語は結構キツイかも・・・(笑)

やぎっちょさん、お手数をおかけしました。
地元のスポーツ番組を観て、そのままTVをつけっぱなしにしていると、笑点が始まるのです。
一人芝居だと思うと、意外と平気になってきました。
……年かもしれません……。

どもども。
「ないものは作れ」
すっごぉーーくズンとくる言葉だなぁ・・・。わかってるけどとっても難しい。とりあえず努力するしかない!・・・よね、やっぱり。

落語、行きたいねぇ・・・でも、日程が難しそうなんだよなぁ^^;

すずなちゃん、どもども。
わかっているけど、難しいことってあるよねえ。
わかっていたはずなのに、忘れてしまったり。
だから、思い出させてくれる仲間が大事なんだなあと思ったです。

博多・天神落語まつりのこと、すずなさんに教えてもらって行きたいなぁと思っているところなんです♪
こういう風に落語を取り上げた小説を読むと、実際に聴いてみたくなりますよね~。
行けたら良いなぁ。
映画になったのは知っていたけれど、漫画まであるとは知りませんでした!!

エビノートさん、TB&コメントありがとうございます。
そーなんですよー。落語を実際に聞いてみたくなりました。
スポーツでも芸能でも、生で見ると印象がまったく変わることが多いですもの。
落語まつりの客席に、この本を読んだ人が実は何人もいたりしたら…想像すると本って捨てたもんじゃないんだと胸を張りたくなります。
マンガはとてもコンパクトにまとめつつ、原作の雰囲気はきちんと伝わる感じでした。

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