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2007.07.08

晩夏に捧ぐ:成風堂書店事件メモ(出張編)

晩夏に捧ぐ<成風堂書店事件メモ・出張編> (ミステリ・フロンティア)  大崎 梢 2006 東京創元社

本屋に幽霊が出たら、それも売り物にしようよー。
と、幽霊よりもはるかに生きている人間のほうが怖いと思う私は、素敵な本屋さんには幽霊がいたって魅力の一つに変わってしまう気がする。
先日、「だって、見ず知らずの幽霊に恨まれる覚えなんてないもん」と言ったら、「向こうがそう思ってくれるかどうかは別なんだから」と上司に諭されたばかりだが。

前作『配達赤ずきん』の何が出てくるかわからない、わくわくする感じが少なくなったかな。
主人公の杏子&多絵の巻き込まれた事件に不自然さを感じた。冒頭のアリバイ証明のあたりの地に足をつけた書店員っぷりに比して、探偵として招聘されるくだりが居心地が悪くて、非日常の物語だと思ったた。
主人公達にとっても、普段の職場を離れた非日常で物語が進む。

おそらく、本屋さんで起きるような日常の小さな事件というのは、長編で語ることが難しいのだと思う。
長編で語るには、大きな事件を。いつもの職場で起きないのならば、ほかの場所で。
古い事件を組み込んだことは、上手だと思った。
司法をなるべく絡めないためには、時効が過ぎていたり、すでに判決が出ている出来事を設定しないといけない。つまり、犯罪は終わっているのだ。

とても魅力的な老舗の本屋さんや、おしゃれで大型の本屋さんが出てくる。
本を書く人、作る人、売る人、読む人と、それぞれ本が大好きな人たちが出てくる。
本に思い入れを持つ人たちがいるからこそ、私も読書の楽しみにふけることができるんだよなあ。
本屋さんを応援しなくちゃ~と、近所の本屋さんに交互に散在することにしている私の努力は微力であるが、そういう建前があってこそ思う存分、積読本の山を成長させられるのである。
すぐに手に入らなくなるから、目に付いたときに買わないと、二度と出会えなくなるのだもの。もう少し、一冊ずつをゆっくりと丁寧に扱う文化になってくれてもいいのに。
さて、次作はいつもの本屋さんに戻るようで、楽しみだ。

書名の明かされなかった多絵と杏子の出会いの本は、バーネットの小説で、メアリーとディコンとコリンが出てくるものじゃないかと推測。
映画化もされていますし、ターシャ・テューダーのイラストで出版されているものもある。
ロビンが可愛らしい、あの本だといいな。違うかな?

最後に。
PTSDの言葉が普及すると同時に、意味が拡散し、流行が過ぎつつあるように感じるが、トラウマティックな体験は暴き立てればいいというものではない。
さかしらげに内奥に踏み込んで、善意を振りかざして踏み荒らすような、想像力と共感性の欠如を、私は嫌う。
しかし、その体験したときには致命的なほどの記憶も、効力を失うことはある。
人は、変わることができるのだから。
今は難しいことも、いつか大丈夫になる。きっと大丈夫。そう信じている。

 ***

晩夏に捧ぐ (成風堂書店事件メモ(出張編)) (創元推理文庫) 晩夏に捧ぐ (成風堂書店事件メモ(出張編)) (創元推理文庫)

著者:大崎 梢
販売元:東京創元社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

この本、文庫化もされています。

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コメント

香桑さん
ブロガーさんの三冊目の感想を読んでいると、こちらもいまいちっぽいんですよぉ。なので、手が出せずにいます・・・。

やぎっちょさん、コメント&TBありがとうございます。
一冊目の新鮮さは、書こうとして作れるものじゃないのかもしれませんね。
今日中に山月記を読み上げて、次にとりあえず「サイン会はいかが?」に取り掛かってみます。

威風堂のほうが颯爽として格好いいと思う……と思いながら、こっそり自分の記事の間違いを書きなおしました。

香桑さん、こんばんは。
出張の不自然さ、非日常の感じがありましたね。
ちょっと読んで時間が空いたので、地方の書店事情を伝えたかったのかなぁ、なんて思ったり。
やっぱり書店内で起こる事件の方が、向いている気がしました。
「サイン会はいかが?」お待ちしてます。
多絵と杏子の出会いの本、気になります~。
ヒントはいっぱいちりばめてあるのに、海外本にうといので、さっぱりです(涙)。

藍色さん、コメント&TBありがとうございます。
出会いの本、これかな?と思ったのは、バーネットの「秘密の花園」です。
いくつか版がありますが、ターシャ・テューダーの表紙がイメージに近かったです。
本当にこれだって確証はありませんが……。(^^;
短絡的に思いついたものがこれでした。

僕僕先生もまだ手付かずで、一日が24時間じゃ足りません。とほほ。

読んだよー。
脅されてたほど(え?)ではなく、私は1作目同様、夢中で読みました。
事件の方はイマイチだったけどね^^;でも、私の中でのメインはそれじゃなかったからさ(笑)
これを読むと、本を買う時は近所の本屋さんを利用しよう!と思うね~。
あとね、杏子さんから多絵ちゃんに渡された本は、私もそれだと思います!

すずなちゃん、お疲れ様~。TBもお願いします♪
杏子さんから多絵ちゃんに渡された本、同じ推理みたいで嬉しいです。
あれだよね。あれしかないよね? と、にやにや笑いながら読みました。
大きな本屋さんも楽しいし、老舗の名店が斜陽になると悲しいし、だけど、近所の本屋さんにもがんばってもらいたいし。
このシリーズを読むと、本と本屋さんが好きだなあ、と再確認します。

香桑さん、こんばんは(^^)。
私の感じた違和感が、ちゃんと明文化されてて、非常に腑に落ちました!
そっか~、日常の謎は長編に向かない、ね。うん、そうですよね。
本屋さんでの日常の謎、の方が私は好きです。

あ、私も多絵に渡された本は『秘密の花園』だと思いました!・・・違う、のかしらん?

水無月・Rさん、こんばんは☆ すっかり放置状態のブログにコメント、ありがとうございますぅ。
すっきりしてもらえたのならよかったです。(^^
もっともっと成風堂という舞台を活用してもらいたいなぁ、と残念に思ったんです。
その代わり、まるう堂のような素敵な本屋さんも登場することができたのですが。

『秘密の花園』ですよねー。これしかないと思います。
私にとっても、子どもの頃の愛読書です♪

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