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2007.07.15

永遠のとなり

永遠のとなり 白石一文 2007 文藝春秋社

香椎に行く機会があり、本屋さんで見つけた。
ほかの本よりも多めに平積みにされていた。
この本を買うならば、是非にこの街に因んで買ってみようと手に取った。
かつて、松本清張『点と線』の舞台となった、この街で。

ある方のブログで見て、舞台がどこかを知らなければ、おそらく買おうとしなかっただろう。
香椎に住んだことはないが、生まれた場所であるので、景色はよく知っている。
主人公の男性は五十歳を目前にして、うつ病を発症し、離婚した上に離職して、単身、地元に戻る。
幼馴染の友人は肺がんを何度も再発しながら、結婚と離婚も繰り返している。
生まれて生きて死ぬだけの人生の、「生きる」ことの難しさ、孤独に耐える難しさが語られる。

うつ病の症状としての性欲減退や、薬物療法の副作用としての勃起障害はよく知られるところであると思うが、それがどれぐらい男性にとって重要なものであるかは、私には実感できないことである。
男性の勃起に対するこだわりの手がかりは、私の場合、奥田英明『イン・ザ・プール』、それ以外では阿部輝夫『セックスレスの精神医学』、森岡正博『感じない男』あたりが挙げられるか。

これだから男って。まったくもう身勝手なんだから。何度もぼやきながらページをくった。
それに、酒も飲み過ぎ。毎日の飲酒は体に悪いんじゃないか?
それでなくとも、運転の前には飲酒はやめましょう。醒めたと思っても残っているのが酔いです。事故のもとです。
アイランドシティを抜けて雁ノ巣に行く道筋を示しつつ、飲酒して運転するような描写が残念に感じた。

順風満帆で、平凡きわまりないと思っていた人生が、ある日、失われる。
死を見た後の、二度と安心できない日々。世界や神様や運命への怒りを、むなしさとはき違えてはいけない。
永遠は遠く、そこに至れば幸福であるとの保証もなく、どこへ向かえばよいのか。
立ち止まって考える機会が、人生には用意されているものなのかもしれない。主人公の考え方は私とは違うけど。
永遠の別名を、死という。

暗い話かと思いきや、読後感は悪くはない。多少はくたびれて、しょぼくれたとしても、残りはまだあるのだ。
最後に出てきた「太陽の塔」に思わず噴き出した。

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小説(日本)」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。
私は西日本新聞の記事を見て、この本読んでみました(住んでいる場所、お近くかも…)。
身勝手さとか不健康さとか、この世代の男ってこうかもって、なんとなく感じました。
アイランドシティ~雁ノ巣での痛ましい事故があったので、飲酒運転は書かないでほしかったです。
こうして立ち止まって考えること、気がつかなかったので読んでみていい機会になりました(もちろん答えは出てませんけど)。
最後の「太陽の塔」、意表をつかれて私も笑いました。

藍色さん、こんばんは!
あらあら、うちも西日本新聞です。でも、新聞をきちんと読んでいないんです…。
もしかしたらどこかですれ違っているのかも? なんて奇遇なことでしょう。こんなこともあるとは、と、出会いを嬉しく感じます。
ここまで身近なところで展開される小説というのも初めてで、物語とは別のところで笑うことしばしばでした。

たまたま図書館で目にして、「そういや、これって・・・」で手にしました。
飲酒運転の描写は私も残念に感じたよ。場所も場所だしね;;;
上手く言えないけれど、ちょっとね~ぐっときたお話でした。

すずなちゃんも読んだんですね。
これはね……。私の感想も微妙なので、力いっぱいオススメはできませんでした。
知っている場所すぎて、隣人の私生活をのぞき見てしまったような居心地の悪さも感じたのです。主人公との考え方や感じ方が苦手だったりとか。
それでも、この終わり方は、まあいいかな、と。啓蒙の点ではOKだと思います。

ちょっと理由があって今年(2016年)から白石氏の作品読み始めました。

たしかに10年前の話とはいえ、この作品が出版されたのは「海の中道
大橋飲酒運転事故」の1年後。

あそこまで飲酒運転を匂わす記載満載なのはいかがなものかと。
作品全体は好きでも後味の悪さは残りました。

通りすがりの方、コメントありがとうございます。
この本はとても身近な景色が描かれていたことで、とても強く印象に残っています。
およそ10年になりますか。早いものです。
本の中で描かれていた感じのいいイタリア料理店は、はす向かいに移転して、今も営業しています。
太陽の塔が築かれていた学校は、もう今はありません。
私がこの本を買った書店は、駅ビルの中に移転して、香椎の町は今日も再開発のために景色を変えつつあるのです。
そんな変化があるぐらいですから、作者の方も、もしかしたら、今、書かれるとしたら違っていることを願うのみです。

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