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2007.01.02

風が強く吹いている

風が強く吹いている 三浦しをん 2006 新潮社

文句なしに、面白い。

今年の一冊目は、箱根駅伝が始まる前に読み終わりたかった。
元旦に、風邪を引いたのをいいことに、初詣もせずに家にこもって読んだ。
ひたひたと、一文字も飛ばさずに一気に読み進んだ。
一歩を積み重ねる、まるで、長距離を走るように。

ひたひたと、その日が近づくにつれ、スタートが近づくにつれ、ゴールが近づくにつれ、こみ上げ押し寄せるのは、興奮か緊張か不安か歓喜か。
途中で予想がつくような、まさに王道をいくような展開であるかもしれないが、どうしてどうして、途中で何度も涙ぐむほど心を揺さぶられる。
テンポのよい短文が、読みやすい。リズムのよさから、読むにつれて、なにかがスピードアップする。

たった10人でいどむ、箱根の山は天下の険。
一つところに集まった10人のうち、足に故障を抱えた先輩と、暴力事件から陸上から離れた後輩の出会いが主軸であり、主人公格になる。
この二人を中心に集団として進んでいた物語であるが、当日には1人ずつの物語となる。
この構成が、駅伝により、活きる。
まさに襷を繋いでいくように、順番を待ち、出番に走る。

この10人が、どれもまた、可愛いのだ。
私より年下なんだから、いい子といってもよかろう。
女性から男性への期待もこめた、いい子そろいで、かっこよい。
こうじゃなくっちゃ、と、物語も、人物も、ツボをおさえている。

孤独と自由と平等と。
魂の底から追い求めるもの。追い続けずにはいられないもの。
信じる強さ。信じられる、強さ。信じてもらえることで与えられる、この力。
どんなに苦しくても、面倒臭くても、ややこしくても、抑えがたく愛しいと感じる。
愛しているとさえ言える。神さまに選ばれなくても、愛することはできる。
ここに性愛をさしはさむと、野暮になる。走ることが、これほどに気持ちいいのだ。
あくまでもストイックに、走れ。

速く強く。うつくしく。

読んで欲しいので、これ以上、詳しいことは言わない。

運動嫌いな私が、少しは走ってみたい気分になるぐらい、酔ってしまうような、つられてしまいたくなるような、そういう熱を持つ一冊。
川原泉の『銀のロマンティック…わはは』や『メイプル戦記』にも通じるような、綺麗で残酷で、少し切ないスポーツの世界。 
箱根駅伝を見る目が変わり、今年は特に応援に力が入りそうだ。

答えは風の中に…。

 ***

そして、現実は、更に、常に、ドラマティックだ。

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小説(日本)」カテゴリの記事

コメント

本当にこの構成も良かった!
襷を繋いでいくように、次々と語られていく彼らの物語に熱いものがこみ上げてきました。

TB&コメント、ありがとう!>すずなちゃん
なにより、読んでくれてありがとう。
この熱さをね、語り合いたいものですよ。

こんにちは。
いっぱいのTBありがとうございます。
十人のキャラクター、みんなが魅力的で、
笑える場面もいっぱいでしたね。
ひとりひとりの気持ちが伝わってきて、
とっても素敵な作品でした。

また合う記事がありましたら、TB、コメントお気軽にどうぞ。
これからも、よろしくお願いいたします。

藍色さん、TB&コメント、ありがとうございます。
いえいえ、こちらこそ、よろしくお願いいたします。
私がここで感想を書くのは、小説とは限らなくて御興味とは重ならないかもしれませんし、更新も遅いのですけれども、よければまた遊びに来てくださいね。
この本は、今年の一冊目がこれでよかった、と思うぐらい、満足感がありました。

香桑さんこんばんは♪
今年の一冊目だったのですね!ということは駅伝ご覧になったのかな。
あちきは来年から観る予定です。
ある意味こっちが走ったほどに疲れた一冊でしたね。

やぎっちょさん、TB&コメント、ありがとうございます。
ふふふ。今年の初め、駅伝までに間に合わせて、徹夜して読みましたよー。
そして、駅伝の頃には疲れ果てて、眠りこけていました……orz

箱根駅伝名物、東京農大の大根踊りも、要チェックです。
『風が強く吹いている』の表紙では、白菜を振り回している人たちがそれっぽいかも。

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