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2007.01.29

末枯れの花守り

末枯れの花守り  菅浩江 2002 角川文庫

雑誌掲載時に読んだ。梨木香歩の『家守綺譚』を読んで本書を思い出し、久しぶりに読み返した。
波津彬子の挿絵の印象も強い。主人公の容姿は、挿絵を見ながら書いたのではないかと思うほど、よく似合っていた。
私の手持ちは文庫版であるが、ここにはりつけた表紙は波津彬子による単行本のものだ。

菅浩江といえば、『ゆらぎの森のシエラ』や『暁のビザンティラ』『メルサスの少年:「螺旋の町」の物語』など、優生思想に警句を鳴らすようなSFが初期の作品群である。
『「柊の僧兵」記』『オルディコスの三使徒』『不屈の女神:ゲッツェンディーナー』など、いずれも異世界ものである。
女性たちのがんばりや、たくましさに惹かれて、よく読んだものである。これらの中では、私はオルディコスが一番好きだったなあ。特に心理描写がよかった。
作者の描く世界は、形式的な美しさがあるというか、整いすぎの感がある。それで、物語に引き込む力強さに、多少の物足りなさを感じることもある。

作者が和風のもの(伝統芸能や着物など)への興味を深め、作品に活かすようになったのが、本作だったと思う。
読み返してみても、物語の中の舞台設定、状況説明が、歌舞伎の演出を見るようである。映像を思い浮かべることを意識した書き方であるので、衣装や色彩についての言葉を知らないと、せっかくの情景が薄れてしまうのである。
ここにきて、形式を活かしながら、より幻想的で、より独自な風合いを出すに至った感がした。
永久の姫君たちが耽美で頽廃的な空気をかもしても、涼やかに爽やかに青葉があたりを清める健やかさを持つ。

雑誌が廃刊にならなければ、もしかしたら、異界のものたちの世界の理が説明されたのかもしれないが、それが説明されないままであることが魅力になっているのは、夢枕獏の解説に同意する。
(この世界の理をしようとしはじめると物語の力が弱まることがある。たとえば、小野不由美『十二国記』など)
ただ、もしもその説明があったらならば、最後の黒飴の甘さも、よりひとしおに感じられたことだろうと、少し残念。

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