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2006.11.22

空の中(単行本)

空の中 有川浩 2004 メディアワークス


このラストは、「愛と青春の旅立ち」?
作者との世代の近しさを感じます。随所に。

今度はF15イーグルが頻出。
んじゃ、次作はF16ファイティング・ファルコンか? それとも、F18ホーネットか??などと、勝手に盛り上がってみる。
タイトル通りの空の表紙、内表紙が好き。背表紙の文字も、本文の字体も、すっきりとして、私の好み。

「まったき一なるもの」の平安と幸福。万能感に満ちた世界。
きわめて対象関係論的な、母性を剥奪された恐怖と不安。人生の最も早期に刻み込まれる、原罪。混乱と抑うつ。
人間ではないものの「分離-個体化」の過程から自我なるものの成長発達を描く手法は、神林長平『戦闘妖精・雪風』のジャムしかり、菅浩江『オルディコスの三使徒』のマヌダハル神といい、SFで散見される。
人と出合った「人ではないもの」は、人と対話し、対立し、自我に目覚める。しかし、それだけではまだ、部分対象にはならない。「人ではない一なるもの」は全体のままであり、部分に分割されず、自己の中に矛盾や対立をはらまず、安定して満ち足りている。

物語は、人と「人ではないもの」の対立と、「人ではないもの」内部での部分と部分の対立が、同時平行する。
この作者は、ここで解離性同一性障害を援用した。そこに工夫が見られる。
部分と部分の対話を下手に進め、個を際立たせると対立しこそすれ、融合には至らない。やはり、それなりの配慮というか、過程というものがある。
人は人で、過ちを背負った自分、もはや完璧でもなく、万能でもない自分自身を引き受けていくことを迫られる。
まあ、思春期というものは、過大な自己愛や万能感に傷つきを覚え、それでも尚、人生が続くことを思い知る時期なのだろう。

子どもが暴走したとき、それを引き止める。それも先行く大人の仕事かな、と思う。
あやまつことは、誰にでもあるから。子どもはもちろん、大人だって、日々、いや、時々刻々と間違える。
だから、誤るな、とは、私は言えない。だって、私も間違うもーん。それを背負っていくしかないじゃないか。

誤るからこそ、その分、大人は子どもに、折れる時を、教えてやったり、与えてやることなら、できるかもしれない。
後始末の仕方や、次への対処方法を一緒に考えることだったり、謝るための勇気を振り絞る手伝いが必要なこともあるだろう。
人間にはパーフェクトはない。だからこそ、ベストがある。そして、昨日のベストと今日のベストが違うように、今日のベストと明日のベストも違うから。

間違いに気付いたら、修正しろ。
致命的な間違いなんて、そうそうには起きないから。
許されない罪や、消えない失敗を踏まえて、その上で、どうするか。
明日がどうなるか分からないのだから、日延べしないで、今、がんばらないとね。

誤ることと謝ること。亀の甲よりも年の功がものを言う、大人の魅力(?)が際立つ小説だった。

この人の本は、私の中のガキの部分を駆り立てられる気がする。なんとなく。
それは悪い気がしない。
まだまだ宮じいの境地は遠いようです。
(2006.11.4)

***

文庫本『空の中』の感想は コチラ

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コメント

こんにちは。
誰もが主人公にもなれるほどの、読み応えのある物語でした。
SFいっぱい読まれてるんですね~。
大人がきちんと大人であり、自らのつとめを果たし、子供を導く。
宮じいが素敵でした。
TBさせていただきました。

藍色さんも着々と有川作品、読んでいっていらっしゃる。
『空の中』は冒頭はショッキングですが、最後は清々しい空のような物語でしたね。
すっきりと物事が収まるところに収まっていく気持ちよさがあります。
宮じいもかっこいいですし、はるなちゃん&光稀さんもハッピーで素敵です。子ども達の葛藤も微笑ましく見守る気持ちになりました。

本来、海外ファンタジー好きのつもりなんですが、読んだのが昔だったり、好きすぎて、レビューに書けないんですよね。
あんまり現実的すぎるものは、現実だけで充分なので、想像力を刺激される本のほうが好きなのです。(^^;

香桑さん、こんばんは。
図々しくも、早速TBしに来てしまいました~!

実はこの作品、水無月・Rのブログ開設の主要因であります。「有川浩さんスゴイッ!こんなすごい作品のことをネットの世界で萌え叫びたい!」という欲望から生まれた【蒼のほとりで書に溺れ。】なのでございます(笑)。

とにかく、登場する女性陣がみんな「はちきん」なのがよろしいですね~。
はちきん魂あふれ、有川節が炸裂する『空の中』、水無月・R的・最高作品といってよいです(^^)。

うわーっ。水無月・Rさん、早速、ありがとうございます。
私は有川作品初読みの『図書館戦争』がブログを作るきっかけでした。
なんかもう、有川さんに感謝です。こういう縁までいただいちゃって。
『空の中』の感想を書くときには、ある方からプレッシャーがかかりまして、小難しく書いてみました。(^^;

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