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香桑の近況

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2019.10.31

時が止まった部屋:遺品整理人がミニチュアで伝える孤独死のはなし

小島美羽 2019 原書房 孤独死のリアル。自分はいつか孤独死をするだろう。その未来を、怖いけども確かめるような気持ちで手に取った。 予想以上のリアルさに、手に取ったことを後悔する。ここまでリアルに再現してあるとは予想外で、ミニチュアではなく現場そのものであるかのような写真の一つ一つに、ぞっとした。生々しさに、ぞっとした。 とはいえ、人が死んだ跡のことを、ここまで率直に描いたものを初めて見た。死の...

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2019.10.15

白銀の墟 玄の月 第1巻・第2巻

小野不由美 2019 新潮文庫 18年前。景王陽子は、利き腕をなくした女将軍と角をなくした黒麒が戴に戻るのを見送った。たった2騎でなにができるのだろう。どちらも大きな傷を抱えていた。体にも、心にも、大きな喪失を抱えていた。それでも、彼らは彼らの国に帰らなければならならなかった。自分たちだけが安全な場所でのうのうと過ごすことを、自分に許すことはできなかった。読者もまた、悲壮な覚悟をもって旅立つ彼らの...

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2019.08.30

天空のミラクル

村山早紀 2016 ポプラ文庫ピュアフル ほんの少し、不思議な力を持つ少女。 きっと少女の頃は、こんな不思議な力に憧れるものなのだ。 その頃に読んでいたら、きっと主人公と同じように唇を噛み締めて、気持ちを抑え込むようにして耐え、勇気をふるって戦ったことだろう。 大人たちの言葉を自分に話しかける言葉のように、心に刻みながら。 今、大人になってこの物語と出会った私は、主人公を守る守護霊のように肩越...

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2019.08.20

イナンナの冥界下り

安田 登 2015 ミシマ社 漢字発生時の「心」の作用、すなわち「時間を知ること」と、そしてそれによって「未来を変える力のこと」(p.5) イナンナの冥界下りに興味を持ったのは、M.マードック『ヒロインの旅:女性性から読み解く〈本当の自分〉と創造的な生き方』がきっかけだ。イナンナがエレシュキガルに会い、Black Motherの顔を得ることが、女性の回復であり成長に不可欠であることを描く下りで、イ...

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2019.08.10

死者の民主主義

畑中章宏 2019 トランスビュー 四方八方に論が展開していき、刺激的な読書となる。そんな本だ。あとがきを読むと、どうやら、あちこちで書かれたものを集めたもののようである。#NetGalleyで拝読したゲラは、第一章「死者の民主主義」と第二章「人はなぜ『怪』を見るのか」だけであるから、余計にこの論がどこに流れゆくのか、見えなかったというのもある。 登場する素材はさまざまで、ハロウィンもあれば、『こ...

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2019.07.30

ひとはなぜ戦争をするのか

A.アインシュタイン S.フロイト 2016 講談社学術文庫 ひとはなぜ戦争をするのか。 この問いを発したのはアインシュタイン。その問いに応えるのはフロイト。 往復書簡は、国際連盟のプロジェクトであり、アインシュタインへの依頼だった。誰でも好きな人を選び、「いまの文明でもっとも大切と思える問いについて意見を交換」(p.9)するというプロジェクトだ。時は、1932年。アインシュタインの手紙はポツダム...

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2019.07.22

お江戸けもの医 毛玉堂

泉ゆたか 2019年7月22日刊行 講談社 動物たちは嘘はつかない。動物のすることには意味がある。人がすることにも意味がある。だが、人は嘘をつく。 小石原の療養所で人の医者をしていたという凌雲と、その押しかけ女房となったお美津。捨てられているところを世話して、そのまま貰い手がないまま引き取っている、犬たちや猫。夫婦のぎくしゃくとした同居は意外とにぎやかで、あれやこれやと客と出来事が舞い込んでくる。...

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2019.07.08

フェオファーン聖譚曲(オラトリオ) op.1  黄金国の黄昏

菫乃薗ゑ 2019/08/28刊行 opsol book 国を倒す。復讐と革命の物語だ。 ロシア風の名前と東アジア風の世界観、ヨーロッパ風の食文化や生活風土。剣と魔法の物語であり、専制君主が君臨する王国、その宮廷を舞台とした物語だ。ロジオン王国の貴族たち、魔法使いたち、騎士たちと、登場人物が多い。長編となる物語の第一章であるが、意外なほど、登場人物たちの立ち位置が目まぐるしく変わる。そのスピードが...

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ほんとうの道徳

子ども達への信頼に裏打ちされている。そこが素敵な本だ。公教育で道徳を教科として行うことが決まってしまったのであれば、それをどう活かしていくのか。すればするほど価値の対立をもたらしたり、上っ面だけの茶番にならないように、実践的な方法論と哲学が積み重ねてきた知見が盛り込まれている。世界がよりよいものになるように。そんな希望を思い出させてくれる点で、とてもよい本だった。 公教育で行われる道徳が、ムラの習...

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2019.06.20

アスペルガー医師とナチス:発達障害の一つの起源

エディス・シェファ― 山田美明(訳) 2019年6月20日刊行 光文社 「アスペルガーの業績は、ナチスの精神医学の産物であり、彼が暮らしていた世界が生み出したものだった」。(p.10) アスペルガー障害に名を残す人物について、私はまったく無知だった。この本は「社会的・政治的力が医学的診断にどれほどの影響を与えるのか、それに気づき、それと闘うのがいかに難しいかを明らかにし、神経多様性を推進していくた...

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