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香桑の近況

  • 2017.1.4
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2017.12.04

奇跡のリンゴ:「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録

石川拓治 2013 幻冬舎 あー。このリンゴ、食べてみたいなぁ。 そんな気持ちでいっぱいになった。 もともとはNHKが「プロフェッショナル 仕事の流儀」という番組のために取材したことをベースにして書かれた本だ。 頭の中で、あの音楽やあのナレーション、テロップを追加しながら、読んでみたくなる。 なんとなく、番組として報道されているところが思い浮かぶような、景色や物事の描写が丁寧な記録だった。 リンゴ...

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2017.12.01

日本の近代とは何であったか:問題史的考察

三谷太一郎 2017 岩波新書 選挙前に読み終えたかったが、時間がかかってしまった。 政党政治、資本主義、植民地帝国、天皇制の四つの観点から描かれており、明治以降の日本の歩んできた道が有機的に絡み合っている。 それぞれの観点ごとに、順を追って語られるため、慣れない分野であっても理解しやすく、また、わかりやすい説明となっていた。 著者が50年の研究生活の成果として、日本の近代についての総論となるよう...

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2017.11.28

ブレードランナー 2049

先日、『ブレードランナー2049』を見てきました。 一作目の舞台って、2019年……つまり、来年だったのですね。 前作についてはルドガー・ハウアーの脱ぎっぷりの潔さにびっくりした記憶がなく、改めて原作を手に取りたくなったほど、今作はとてもよい映画でした。 刃物を持って走る人。 このタイトルの意味を考えながら、ブレードランナー2049の感想を書いてみたいと思います。 前提として、Buzz Feed ...

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2017.11.16

魔導の矜持

佐藤さくら 2017 創元推理文庫 敗走戦が一番難しいと聞いたことがある。 逃げることもまた戦いである。 シリーズ3冊目となる今作の主人公を誰か一人と決めることが難しい。 デュナンという少女の逃避行から目を離すことができなくなる物語。 魔導士への弾圧が厳しくなるラバルタで、魔導士の見習いであるが落ちこぼれ。 人とは少し違うことを苦にして、自信を持てずにいる女の子だ。 そのデュナンが、妹弟子・弟弟子...

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2017.11.14

されど、化け猫は踊る:猫の手屋繁盛記

かたやま和華 2017 集英社文庫 好きで好きでたまらなくなると、感想が言葉にならなくなる。 ナツヨムというブックフェアで、よむにゃのブックカバーにつられて一冊目を買った。 『猫の手、貸します』というタイトルと、おさむらいの格好をした白猫の表紙。 猫のブックカバーをもらいたんだから、猫の本もよいかと思って軽い気分で選んだ。 一冊目を読んで、主人公に惚れ込んで、翌日には2冊目以降を手に入れた。 四角...

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2017.10.27

Black Box

伊藤詩織 2017 文藝春秋 記者会見の場での彼女を見て、私は凛々しいと思った。 その勇気を称賛したいと思った。 「そこに血を残しなさい」 筆者がアメリカ留学中にホストマザーから受けた教えに、ぞっとした。 私が四半世紀前に読んだスーザン・エストリッチ『リアル・レイプ』(JICC出版局 1990)には、不正確な記憶であるかもしれないが、被害者が抵抗した証拠がなければ性交渉は合意と見なされることがした...

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2017.10.12

百貨の魔法

村山早紀 2017 ポプラ社

なにげない情景描写に、思わず目が潤む。
なんでこんなに、感情が揺さぶられてしまうのか。
そういう心を動かす魔法の書がこの一冊だ。

なんでこう、琴線が共鳴を始めるのだろう。そう考えながら読んでいたとき、ふっと気づいた。
村山さんの物語には、色と音と匂いに満ちている。
綺麗な色合いや、きらきらと輝く光。太陽の光も、人工の光も、そこを照らす。
人々のざわめきや子どもたちの嬌声、空間を包む音楽に、鼻歌。
食べ物のにおいや香水のにおい。
そんな五感に訴えかけてくる彩がとても豊かなのだ。
そういう刺激の一つ一つに無意識が揺さぶられる。
たまらなく郷愁がかきたてられるのだ。

戦争時に町の半分が空襲にあって焼けてしまった風早の町。
孤児として生き延びた人たちが大人となり、商店街を立ち上げた。
星野百貨店は創業50年。町の復興の中心、経済の中心、文化の中心だった。
時が流れて、建物は古さを感じられるようになり、こじんまりとして見られるようになった。
百貨店産業にとって厳しい現代において、ゆるやかに沈もうとする大船のような不安感と寂寥感が随所に漂っている。
しかし、沈んでしまったわけではない。
そこで人々を笑顔にしようと働く人々がおり、小さな出会いやささやかな奇跡が生まれている。
どこか郷愁を誘う景色や気配に、笑顔で働く人々のそれぞれが抱える事情に、心を揺さぶられる。

成長の物語ではない。
しかし、次世代の成長を見守る物語である。
代替わりの物語と言ってもよい。
苦しい時代を生き延びて、今の日本を作ってきた人たちからの、祈りと願いと励ましがこめられている。
それは、明日を信じるための魔法である。
もう一度、明日を信じられるようになってほしいという魔法である。

京都の高島屋と福岡の岩田屋。この二つを思い出した。
私は学生時代、お中元とお歳暮の間だけ、百貨店でアルバイトをしていた。
音楽が流れる中、開店時にスタッフが一列に並んで、いらっしゃいませと出迎える風景を久しぶりに思い出した。
自分は主に包装をしていたわけだが、その時に、正社員の男性から言い聞かされたことがある。
テナント店の包装や紙袋ではなく、百貨店の包装紙や紙袋を使うことで、その百貨店でわざわざ購入したという付加価値がつくんだ、ということだった。
百貨店のプライドを感じた一言として、何年経っても忘れられない。

更に幼い時の記憶であるのか、家族から聞かされた話が混じっているのか。
屋上に小さな遊園地があり、最上階にフードコートがあり、家族が休みにちょっとおめかししてお出かけしに行く場所としての、地方の百貨店の景色もなんとなく私の中に残っている。
大手の百貨店チェーンの傘下となってしまったが、地元の百貨店の名前を残すその店舗は、今も私にとってはお出かけすることが楽しみな場所だ。
高い天井の真新しい建物になる前の、懐かしい姿をぼんやりと思い描きながら、星野百貨店の中を歩き回った。

何気ないはずの社員食堂の描写に泣いてしまったことには、自分でも驚いた。
その職場で働けることは、なんて幸せなことだろう。
働く人々が、働く場所に愛情を抱くことができることは幸せだ。
そんな場所は、客からも愛される場所になることが間違いない。
働く人にとっても、客にとっても、そこは平和であり、真心であり、希望であり、癒しであり、我が家である。
読み手にとっても、この本は、きっと、平和であり、真心であり、希望であり、癒しであり、我が家となる。
傷つき疲れた心に、明日を信じる勇気を思い出させてくれる魔法の本だ。

 *****

ここから先は、今、この時にこの本を読めたこと、その奇遇と僥倖について、自分のために書いておきたいことであるから、折りたたむことにする。

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2017.10.05

御松茸騒動

朝井まかて 2017 徳間時代小説文庫 シンプルな表紙が印象的だ。 松茸が一本と、すだちが一つ。 そして、このタイトル。 気になって気になって、タイトル買いした本だ。 江戸詰めの尾張藩士の小四郎。 小さい時から算術が得意で、同僚や上司のやる気のない仕事ぶりに不満たらたら。 その態度が煙たがられて、国元に異動させられてしまう。 松茸不作の原因を探れと、御松茸同心なる職を拝命する。 腐りそうである。 ...

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2017.09.26

ころころ手鞠ずし:居酒屋ぜんや3

坂井希久子 2017 時代小説文庫 旅先の本屋さんで偶然見つけた3冊目。 ついに例の事件が動き出す。 あの人の行方もわかる。 今回の私の一押しの料理は、なんといっても蒸し蕎麦。 なんじゃそりゃな話がとても楽しい。 美味しそうなのは表題の手鞠ずし、食べてみたくなったのはお雑炊であるが、インパクトの面では蒸し蕎麦。 とても遊び心のきいた場面となっている。 職場で腹の虫と笑いをこらえながらの読書となった...

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2017.09.21

紅霞後宮物語 第零幕:2、運命の胎動

雪村花菜 2017 富士見L文庫 ようやく文林が登場し、未来の夫婦が出会う巻。 小玉が順調に軍のなかで活躍し、頭角を現しつつある時期の物語である。 なんでこの人、皇后になったんだろう?という戸惑うことになった。 こんなに軍人としての適性を発揮していくのに、なんで後宮にいなければならないのか。 本編の第一巻の主人公の戸惑いを、今になって私が感じた。 と、同時に、文林よ、彼女をくれぐれも大事にするんだ...

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«砂漠の歌姫

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